対照化トライアルにおける治療効果バイアス
2008年 03月 14日
平均的バイアスは、ランダム化トライアルの施行がされてないことと相関し、アウトカムの種類により変動する。システミックレビューをするものは、ルーチンにトライアル結果によるバイアスリスクを評価すべきで、プライマリアナリシスとして、もしくは、制限をうけていない分析としてバイアスのリスクが少ないメタアナリシスに限定して報告すべきであると結論
Empirical evidence of bias in treatment effect estimates in controlled trials with different interventions and outcomes: meta-epidemiological study
BMJ 2008;336:601-605 (15 March)
【デザイン】 Combined analysis of data from three meta-epidemiological studies based on collections of meta-analyses.
【データソース】 146 メタアナリシス、1346トライアルで、広範な介入・アウトカムを調査したもの
【主要アウトカム測定】不適切・非明瞭割り当て、ブラインド化非施行に伴うバイアスの程度を定量化したあとのオッズ比の比率
介入とアウトカムの違いにより評価
オッズ比<1の比率は、介入効果を過剰とする不適切な隠匿・目隠しの効果と考えた
【結果】
主観的アウトカムに関わるトライアルの場合、その影響は、不適切・非明瞭割り付け時過剰な判定(オッズ比・比率 0.69 95%信頼区間 0.59-0.82)で、ブラインド化なしのときも過剰 0.75(0.61-0.93)
一方、主観的アウトカムの場合のバイアスエビデンスは少ない。
オッズ比・比率は、不適切・非明瞭割り付け時0.91(0.80~1.03)、ブライド化なしのとき1.01(0.92-1.10)
薬剤介入か、薬剤介入でないかで相違があるというエビデンスが少々ある。
全原因死亡率に関するトライアルを除けば、バイアスはメタアナリシス間でそのばらつきは広い
ブラインド化の質を無視して、メタアナリシスすればそのバイアスが含有してまう。故に、このことを考慮すべきというのは当然だろう。
だが、逆に考えれば、死亡率のような客観的アウトカムをあつかうトライアルでは少々寛容でも良いのかも知れない。
ランダム化対照トライアル(RCT)やそれらのシステミックレビューは、医療介入効果を評価するベストな方法である。しかし、方法論的質が担保されているかによりバイアスがかかる。それらを含むメタアナリシスにもバイアスが含まれるわけである。
介入効果推定のバイアスに関連するトライアル特異的な特徴の経験的エビデンスはいわゆる、meta-epidemiological studyの集積であるメタアナリシスの収集に起因する。
by internalmedicine | 2008-03-14 11:04 | 医療一般