がちんこ:メタボリック・シンドローム対決
2008年 03月 21日
4月からメタボ検診導入だが・・・日本でもケンケンがくがくやってもらいたい。
“メタボ”の概念の科学的曖昧性と底の浅さが判明するから・・・
【メタボリック・シンドロームは唾棄すべき】
Should we dump the metabolic syndrome?: Yes
BMJ 2008;336:640 (22 March)
【定義がはっきりしない】臨床的集積により症候群となるが、メタボリックシンドロームは求心性特徴を欠いた臨床的概念である。この概念は当初、2型糖尿病患者でグループ分け時使用された概念で、糖尿病よりインスリン抵抗性を示唆する共通要因を考慮して、Gerald Reaven(Diabetes. 1988 Dec;37(12):1595-607.)はじまった用語である。
インスリン抵抗性は、症候群の個別特徴とするには定義、測定が容易でなく、一致性もみられない。また、メタボリックシンドロームの定義提案は、明確な糖尿病を含み、心血管疾患のある住民も含みながらアウトカム予測されている。
糖尿病での"now you see it, now you don’t"(消えますよ・・・ほらっ・・・消えた)的アプローチがこの症候群でのエンドポイント解析になり、糖尿病患者に対してのメタボリックシンドロームの診断はその理解、臨床マネージメント上なにものも新しいものを与えてくれない。故に、無駄の一言に尽きる。もしこのシンドロームをまともにしたいのなら、糖尿病や既知の心血管疾患を有している人達を除外すべきだろう。
【臨床的意義に乏しい】
中心性肥満の臨床応用への追究は感心するが、問題が多い。ウェスト径が中心性肥満に関して制限が多すぎるからである。正確性は必要ないというが、一致性は必要であり、胴回りと脂肪沈着の相関はばらつきが大きすぎる。民族によりばらつきがあり、満足行く定義が人種毎にない。尺度毎のスライディングスケールを用いて、心血管リスクの較正が必要。
メタボリックシンドロームの診断はすでにその病態がないヒトで糖尿病・心血管疾患の予測を促進する。IGT単独の方が糖尿病前状態では予測は優秀である。既知の心血管リスク要因が心血管リスクを促進するのは当たり前。この症候群は、年齢、性、喫煙、心臓病家族歴や個人の病歴を導入することでその予告感度が向上する。このことは連続変数の処理が望ましいと言うことがわかる。2分割のような処理の仕方は不適切かもしれない。
要するに、メタボリックシンドロームは安易な臨床的ラベリングであり、有益な定義を有しないのである。
【メタボリックシンドロームは廃棄すべきでない】
Should we dump the metabolic syndrome? No
BMJ 2008;336:641 (22 March)
ADA/とEuropean Association for the Study of Diabetesが、メタボリックシンドロームの存在と意義について疑念を呈した(Diabetes Care 2005;28:2289-304.)。
ポイントをうしなった症候群の方にのみ興味を抱きすぎで、包括的すぎで、議論の引き金を求める発想によるものだ。レビューは症候群なのかどうかの疑問からスタートしている。単に集積体にすぎない。メタボリックシンドロームの筆者らの定義は、心血管疾患や糖尿病の単独のあつまりよりもより相互関連性のあるリスク要因としての集合体と考えている。繰り返しこのことは言明されている(例:
JAMA 2002;287:356-9. Diabetes Res Clin Pract 2007;77:471-8.)
病因は不明だが、central adioposity、インスリン抵抗性、低度炎症を含有する強い仮説が示唆されている。2型糖尿病だって、病因は不明で、多くの状態を具有するではないか。
この症候群は、新しい疾患が作られたというわけではなく、リスク状態を同定しようというものである。それはpre-diabetes(ADA作成にる病名)や脂質異常症などといったもの
ということで、リスクを同定することが重要となる。
リスク同定の意義症候群は、2つのおもな相互密接に関連した定義でつくられ、特異的カットオフ値は臨床的に上京したで用いられている。
連続変数のカットオフ値の使用は臨床的に用いられるが、高血圧か糖尿病の診断などでもyes/noの基準と考えられる。民族毎に異なるウェスト径のカットオフ値の使用は糖尿病、心血管疾患リスクにより作られている。たとえば、アジアの人の方が2型糖尿病の頻度が高いので、超過腹部脂肪のレベルが低く考慮されている。
心血管疾患の絶対リスクを与えるのではなく、医師が注目するリスク要因を有する患者の選択ということでなされたもの
LDL濃度、家族歴、年齢、喫煙といった他の要因も絶対リスクの場合には重要。
臨床的に価値があるという根拠
特別なアカデミックな分野で自動的にリスク要因がしられるというものだが、現実の世界では洗練されたテクノロジーでないが、リスク状態のひとを同定するための定義なのである。
政府の推奨は簡単なアプローチで、多くのリスク有る患者を選別することにある。
長期疾患の裾野を減少する予防的ステップとして用いられることに目的がある。
ライフスタイルの評価がまず大事で、時に薬剤治療が必要とされる場合がある。
2型糖尿病患者のマネージメントが良好となり、70%超が心血管疾患で死亡する。
最も重要なアウトカムハ、臨床家はリスク状態の高い患者に注目する。メタボリックシンドローム(肥満、運動不足のライフスタイル)の基礎的原因の頻度を増加させ、心血管疾患と2型糖尿病の増加につながる。メタボリックシンドロームの診断は、心血管疾患や糖尿病リスクの集積に焦点を与え、多因子要因を強調したものである。公衆衛生、個々のケアでもともに重要な概念である
by internalmedicine | 2008-03-21 14:48 | 動脈硬化/循環器