テレビゲームはリアリティーさが有害性のポイント・・・テレビ・映画の影響の方が本来深刻
2008年 03月 28日
あいかわらず、小児科・精神科学会からの動きがないようだ。
カンフー映画がはやってる?あるいは、はやらせようとメディアが一生懸命だが、あれも危険である。
暴力的なテレビ番組を見ることよりビデオゲームの方がその影響は少ないという報告が存在する。3つの要因が考察されている。
1) まず、ビデオゲームのグラフィックの質そのものがまだまだ貧弱であり、リアリティーがテレビに劣る(e.g., Silvern & Williamson, 1987). 暴力的テレビの研究によると、子供はリアリスティックに描出されれば、攻撃的行動をまねするようになるという報告 (Potter, 1999)。
ビデオゲームのグラフィックが質が悪いうちは、そして漫画的であるうちは、子供の攻撃性にはあまり影響を与えないようである。
2)2番目に、ビデオゲームの“暴力”行為のいくつかは抽象的で、まねしづらい。たとえば、宇宙船を攻撃するなど(e.g., ギャラクシアン、スペースインベーダー)や我が町を守るため進入するミサイルを撃つ (e.g., Missile Command)などのモデルは日々の生活でまねしようにも困難。
3)3番目に、多くのゲームはヒトでない生き物への暴力である (e.g., space aliens, robots, etc.) or are unrealistic humanoids (e.g., zombies)
しかし、リアリズムが増加するとメディア・バイオレンスの負の影響が増すだろうという研究が報告されているが、この問題の研究文献で強力なものはない。
実際、多くのテレビ、映画暴力研究は、漫画的、非現実的な性格が子供や大人に対しても攻撃性増加をもたらすということが示されている(Kotler & Calvert)。
The Newest Media Violence Hazard(pdf)
ただ、今までのメディア・バイオレンスの知見は、動画にリアリティーの少なかった時代の知見であり、今は異なるかも知れない。最近、忍者主人公のゲーム体験版をやったが、血潮とびちるもので、リアリティーあふれるものである。
故に、昨今の刃物などを使った無差別的殺人とビデオゲームが関連がないとは言い切れないと感じた。
だが、テレビゲームよりすでに確立している、メディア・バイオレンス・・・それをスルーしているマスコミは許せない!
「ビデオ・コンピューター ゲームはエキサイティングで、こどものメディア接触の重要なパートとなっている。多くの優秀なゲームがある一方で一部若年、子供に不適切なゲームがあることは事実である。それらのゲームに子供が簡単にアクセスできる限り、政策討議は継続すべきである。制作者側と親側がともに議論することで、芯から楽しめ、ベネフィットを売ることのできるゲームとなることは確実」
(http://culturalpolicy.uchicago.edu/conf2001/papers/walsh.html)
参考:
・メディアバイオレンスのレビューとガイドライン Lancet 2005-02-20
・メディア・バイオレンス:CDC専門委員会発表分 2007-11-30
・メディア・バイオレンス(かかりつけ医通信) 2004年6月10日
・メディアと青少年喫煙問題 2005-12-09
by internalmedicine | 2008-03-28 12:10 | メディア問題