虫垂炎:病歴と理学所見:POCガイド

昨今の医療情勢上、客観性を残すことが大事となってきた。
小児腹痛ルーチンとして、以下のスコア・チェックを残すことも一案かと・・・

Point-of-Care Guides Diagnosis of Appendicitis: Part I. History and Physical Examination
AAFP 2008 Mar. 15
虫垂炎はプライマリケアの腹痛の原因としては、比較的稀、しかし、重症となる可能性がある。正確な診断は不必要な手術、合併症回避のため重要である。
虫垂炎手術の可能性は、患者の年齢、状況、症状に依存。
3つの家庭医センターに於る後顧的研究で、556名の腹痛患者で虫垂炎診断は1.1%(6/556)で、腹痛の子供、EDという設定では、10-25%とその頻度が増加する。
CT、US施行された腹痛患者研究では子供で31%、大人で40%が虫垂炎
虫垂炎の患者のうち、手術を受けた患者は60-90%
穿孔比率は4-28%

個々の症状・兆候は虫垂炎疑診例評価にある程度価値を有する。
多くの患者で、症状・兆候は虫垂炎をrule inするのには役立つが、兆候・症状がないからといって虫垂炎リスクを減少させるとは限らない。
成人においてRLQ痛と臍部からRLQへの痛みの移動は虫垂炎を疑うベストな症状である。
そして、嘔吐前に痛みがないことは虫垂炎の尤度をかなり下げることとなる。

病歴・身体所見の正確性は子供ではばらつきがある。
嘔吐、直腸部圧痛、rebound tenderness、発熱は成人より子供で有用性が高いが、RLQ圧痛は有用性にやや乏しい。
嘔吐前腹痛の所見の有用性は小児では評価されてなかった。




MANTRELS スコア
7点以上:陽性尤度 4.0
7点未満:陰性尤度 0.2


小児急性腹痛の急性虫垂炎事前確率20%で、7点以上のスコアの時虫垂炎確率は50%、7点未満なら5%というもの

・RLQへの痛みの移動 
・吐き気・嘔吐 
・RLQ圧痛 
・反跳痛 
・体温増加 
・白血球数増加 
・左方移動 




他のスコアとしては、白血球無しのスコアなどがあるが、まだ開発途上?

Ohmann Score

低リスク <4 ・・・ 0%、4.0-5.5 ・・・ 3%
中リスク 6.0-7.5 ・・・ 10%、8.0-9.5 ・・・ 15%、10-11.5 ・・・ 24%
高リスク 12.0-13.5 ・・・ 38%、>13.5 ・・・ 74%


・RLQ圧痛 4.5
・反跳痛 2.5
・排尿困難差なし 2.0
・一定した痛み 2.0
・白血球増多L (>= 10,000 白血球数 / mm3 [10 × 109 / L]) 1.5
・年齢50歳未満 1.5
・RLQへの痛みの移動 1.0
・腹部硬直 1.0


by internalmedicine | 2008-03-29 09:24 | 消化器  

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