PERISCOPE研究:アクトス冠動脈動脈硬化抑制効果証明

プラセボ対照じゃないので、どうなのかな?・・・と思うが・・・まぁ倫理上仕方ないのだろう
SU剤の有害性を見てるに過ぎないとううがった見方もできるのだが・・・

今後も武田MRからどうせ耳にたこができるほど聞かされることだろう・・・Pioglitazone Effect on Regression of Intravascular Sonographic Coronary Obstruction Prospective Evaluation (PERISCOPE)

武田としては、スクワレン合成酵素阻害剤TAK-475開発中止のショックの方があり、喜んでばかりはおられず救われんと思うのだが・・・(pdf)の参考


CV合併症ありの2型糖尿病ではやはりアクトスが当面第一選択の可能性、ただ、このトライアルの除外項目に3剤超の糖尿病治療薬を含むものと、NYHA III or IVの心不全除外があることに注意が必要だろう。(拡張心不全除外してなかったのは今後の診療に役立つので良かったと勝手に喜ぶ私・・・BNP除外でなかったので・・・使いやすくなった)

糖コントロールマネージメントは糖尿病治療の主要目標の一つだが、大血管への血糖改善効果というのは提示されがたい状況である。抗糖尿病レジメンで冠動脈疾患発症を抑制しうるというものはない。
あるタイプの血糖降下剤が動脈硬化を減らすという可能性があるがエビデンスとしては乏しかった(Ann Intern Med. 2007;147(6):386-399.)。特に、SU剤は数十年使われてきており、インスリン分泌促進として血糖降効果があり、最も糖尿病治療で使われている薬であった。
Thiazolidinediones (TZDs)は比較的新しい抗糖尿病薬剤で、末梢組織のインスリン感受性を増加させて血糖を下げるもの(Diabetes. 2005;54(8):2460-2470.
2種のTZDsのうち、pioglitazoneは頸動脈の内膜中膜厚肥厚の進展減少と心血管アウトカムの改善の幾分かのエビデンスがある。


insulin sensitizerであるpioglitazoneとinsulin secretagogueであるglimepirideとの比較:冠動脈動脈硬化症の発症比較


2型糖尿病・冠動脈疾患の患者では、pioglitazone治療はglimepirideに比べて有意に冠動脈硬化を抑制

Comparison of Pioglitazone vs Glimepiride on Progression of Coronary Atherosclerosis in Patients With Type 2 Diabetes
The PERISCOPE Randomized Controlled Trial
JAMA. 2008;299(13):(doi:10.1001/jama.299.13.1561).
【デザイン・セッティング・参加者】 二重盲検ランダム化多センタートライアル(97学術・地域病院:北・南アメリカ:2003年8月から2006年3月)
543名の冠動脈疾患+2型糖尿病患者

【介入】543名にて冠動脈血管内超音波検査(IVUS)を行い、ランダムに振り分け
glimepiride, 1 to 4 mg
pioglitazone, 15 to 45 mg

耐用性をみて最大投与量補正18ヶ月間

動脈硬化発症を繰り返しのIVUSで測定し、360名で研究完遂

【主要アウトカム】ベースラインから研究終了時の%動脈硬化容積比率変化:Change in percent atheroma volume (PAV)
【結果】最小自乗平均PAV
glimepiride :0.73% (95% CI, 0.33% to 1.12%) 増加
0pioglitazone:0.16% (95% CI, –0.57% to 0.25%) 減少
(P = .002)

ベースライン特性に基づく非完遂ベースの alternative analysis imputing valueとして
PAV
glimepiride:0.64% (95% CI, 0.23% to 1.05%)増加 for
pioglitazone:0.06% (–0.47% to 0.35%)減少

(between-group P = .02)



両群ぼもベースラインHbA1cは7.4%(1.0%)で
glimepiride:0.36% (95% CI, –0.48% to –0.24%)
pioglitazone:0.55% (95% CI, –0.68% to –0.42%)
(between-group P = .03)

pioglitazone群はglimepiride群に比べて
HDL中央値増加
5.7 mg/dL (95% CI, 4.4 to 7.0 mg/dL; 16.0%) vs 0.9 mg/dL (95% CI, –0.3 to 2.1 mg/dL; 4.1%
中性脂肪中央値減少 16.3 mg/dL (95% CI, –27.7 to –11.0 mg/dL; 15.3%) vs 増加3.3 mg/dL (95% CI, –10.7 to 11.7 mg/dL; 0.6%)

(P < .001 )

空腹時インスリン値中央値はpioglitazoneで減少、glimepirideで増加 (P < .001)

低血糖はglimepiride群で多く、浮腫、骨折、ヘモグロビン値がpioglitazone群で多く報告




因みにPAVの定義:

by internalmedicine | 2008-04-01 08:23 | 動脈硬化/循環器  

<< 誤嚥・・・飲料と体位の工夫 ゼチアの臨床効果否定的報告:内... >>