ARBとACE阻害剤の併用意味無し?:ONTARGETトライアル:不倫同士と表現

Telmisartan(ミカルディス)はramiprilと心血管疾患患者・高リスク糖尿病患者で同等で、血管性浮腫が少ない。2剤の併用は副作用イベント増加し、ベネフィット増加しなかった。


この併用を"bedfellow”(不倫相手?)と表現・・・今後のガイドラインにも影響を与えそうだ。

上記報告なのだが、“noninferiority”であり、確認できたら、“superiority“とのもくろみがあるとのこと・・・あきらめた方が良さそうだが・・・

Telmisartan, Ramipril, or Both in Patients at High Risk for Vascular Events
The ONTARGET Investigators
Yusuf S, et al "Telmisartan, ramipril, or both in patients at high risk for vascular events" N Eng J Med 2008; 358: 1547-59.
三週間の単盲目化助走期間後、二重盲検ランダム化施行し、8576名 ramipril 10mg/d と8542名のtelmisartan 80 mg/d、8502名の両薬剤併用に割り付け

プライマリ成分アウトカムは、心血管原因死亡、心筋梗塞、心筋梗塞、卒中、心不全入院

平均血圧はtelmisartan群 (a 0.9/0.6 mm Hg greater reduction) と併用群 (a 2.4/1.4 mm Hg greater reduction)  ともにramipril群より低下

平均フォローアップ56ヶ月で、プライマリアウトカムは
ramipril 群: 1412 名 (16.5%)
telmisartan群: 1423 名 (16.7%;相対リスク, 1.01; 95% 信頼区間[CI], 0.94 ~ 1.09).

ramipril群比較で、telmisartan群は咳嗽少なく(1.1% vs. 4.2%, P<0.001) 、血管浮腫少ない (0.1% vs. 0.3%, P=0.01) が、低血圧症状は多い(2.6% vs. 1.7%, P<0.001)、失神は両群同様。

併用群で、プライマリアウトカムは1386名発生(ramipril群比較で16.3%; 相対リスク, 0.99; 95% CI, 0.92 ~ 1.07)で、低血圧リスク増加(4.8% vs. 1.7%, P<0.001)、失神 (0.3% vs. 0.2%, P=0.03)、腎機能障害 (13.5% vs. 10.2%, P<0.001)増加





BPLTTCに続いて非常にARB業者にとっては打撃になった・・・
 ↓
ACE阻害薬,AII受容体拮抗薬(ARB)による脳卒中,冠動脈疾患,心不全リスクに対する血圧依存性抑制効果は同程度であった。ACE阻害薬による主要冠動脈疾患イベントに対する血圧非依存性抑制効果がみられたが,ARBでは認められなかった。
Blood Pressure Lowering Treatment Trialists’ Collaboration. Blood pressure-dependent and independent effects of agents that inhibit the renin-angiotensin system. J Hypertens. 2007; 25: 951-8.

by internalmedicine | 2008-04-02 10:58 | 動脈硬化/循環器  

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