カルシウム拮抗剤の逆襲:ACCOMPLISHトライアル

CCBは初期併用療法として利尿剤よりよい選択であるかも知れない。ただ、この知見の対象は高リスク患者であるので、合併症無しの高血圧治療に対して議論が必要であろう。

ACC: American College of Cardiology Meetingの記事(medpage TODAY

アムロジピンを含む単剤固定用量錠剤とACE阻害剤benazeprilは、HCTZ(hydrochlorothiazide)+ACE阻害剤併用より心血管死亡率・合併症を20%抑制(P<0.0001)した報告が、ミシガン大学のKenneth Jamerson MDにてACCで発表されたとのこと。

ランダム化ACCOMPLISHトライアルで、有効性早期判明のため、中断の判断が下されたトライアルで、初期併用治療ということと、現行の利尿剤ベースのガイドラインに反する知見が得られた。

National Heart, Lung, and Blood Institute (JNC 7) ガイドラインはサイアザイド系利尿剤ベースの推奨で、単剤・多剤併用でもそういう推奨がなされている。多くの循環器専門家はこのデータにより、その推奨に変更がないにしても、他の観点が必要という面では一致している。

対象の11,290 名のhigh-risk対象
55歳以上、他剤でもSBP>160で、心血管・腎障害・標的臓器異常認める症例で、肥満、60%は糖尿病というリスクの高さ
ほぼ全例に血圧治療の既往があり、74%は2剤以上の治療を受けている。

ACE阻害剤・ARB 78%、脂質低下薬 63%、抗血小板剤 63%
血圧コントロール内は37.5%

ランダムにamlodipineとbenazeprilに割り付け、5,10,20,40mgと段階化を2ヶ月間
HCTZとbenazeprilへの割り当ては12.5→25mgと20→40mgとそれぞれ増加

30ヶ月にて血圧コントロール達成は利尿剤併用群比較
37.2% → 78.5% versus 37.9% → 81.7%, P<0.001)

平均フォローアップ39ヶ月後のプライマリアウトカムとして、心血管死、MI、卒中、不安定狭心症入院の組み合わせ率は20%ほどCCBで低下(ハザード比 0.80, 95% 信頼区間l 0.71 - 0.90, P=0.0002).

血管再建、入院などのより“ソフトな”エンドポイントでは21%ほど低下 (HR 0.79, 95% CI 0.68 - 0.92, P=0.0022).

個々のアウトカムでamlodipine良好であったものは蘇生された突然死のみ (HR 0.27, 95% CI 0.08 to 0.97)


この所見はDHP系CCBの心血管予防という側面に対して今後議論が続くであろう。

ASCOTのような高血圧トライアルの要因である薬剤間の作用時間については述べられていない。CCBの併用療法の血管健康、NOへの協調的作用により説明できるのかも知れない。


amlodipine最近CKDのため押され気味だが・・・すこしは挽回?

by internalmedicine | 2008-04-02 12:06 | 動脈硬化/循環器

 

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