適用外処方:医師の自由裁量制限は結局患者のためにならない



製薬会社側が臨床トライアルに深く関与し、その結果発表を広く配付し、ガイドラインの先取りをした形でプロモーションをはかるという流れは、FDAの比重を小さくしている。
結局、FDA承認を取らない形の薬剤使用が増えてきているというアメリカの現状


日本においては、医療行為結果責任を重く見る傾向とともに、調剤薬局の権限強化は結果的に、こういう適用外処方を妨げている。ただでさえ、意味不明の薬剤適用規制が大い日本の薬事行政・・・医師の基本姿勢は遵法闘争なのだが、本来外国で通常なされている処方が日本ではできないとうい現状を周知願いたい。

再三このブログでも記載するよう、患者のことを考えれば、処方外適用やむなしのパターンが多いのである。

馬鹿役人と一般的外来を知らない雲上人?医師たちのための狭い世界で決定されている処方適用」

適用外処方の法制化:FDAの機能再評価
Regulating Off-Label Drug Use — Rethinking the Role of the FDA
N Engl J Med Vol.358:1427-1429 2008,April 3
NEJMによると、米国の適用外処方は、15の主要薬剤調査で、約21%というもの
最も多い適用外処方は抗痙攣薬の74%、向精神薬60%、抗生剤41%

米国の事例は
・適用範囲の拡大
向精神薬 quetiapineのうつ処方、paroxetineの子供への処方(適用年齢の逸脱)

・病態による理由づけ
PCOに対するmetformin治療、COPDへのmontelukastの使用

・ガイドライン推奨だがFDA認証されてない薬剤
移植のtacrolimus、糖尿病性ニューロパシーによる疼痛gabapentin


適用外処方において医師の自由裁量は重要な有益性があるとNEJM誌記事
製薬会社は新薬に関しては治験インセンティブがあるが、適用拡大に関しては働きがたい。

“orphan”使用にて利用可能性は担保できているが、それは限られたものである。


NEJM投稿記事の主張によると、医師を「適用外処方」に追い込んでしまっている現状は政府当局のミスであり、結果的にこの「適用外処方」に関する情報を製薬会社も表だって商品説明できないという隘路の陥らせているのである。

医師の自由裁量を直情的に批判する一群と決別して、正当な医療行為の一環として、その限界、有効性、有害性に関し、情報提示・議論がなされるべきである。

by internalmedicine | 2008-04-03 08:40 | 医療一般  

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