肥満関連遺伝子検査キット薬局で発売!・・・危惧される影響
2008年 04月 06日
湧永製薬株式会社は、「DNAから考えるダイエット~Wak-Navi『肥満関連遺伝子検査キット』」を2008年4月1日より、全国の薬局・薬店にて発売いたします。
2008年5月12日には、Wak-Naviブランドサイト(http://www.wak-navi.jp)にて通信販売を開始する予定です。
http://www.wakunaga.co.jp/news/archives/2008040152.html
内容をみると、β3-ARと「りんご型」、UCP1と「洋なし型」、β2-ARと「バナナ型」として、判定するようだ。
3つの肥満関連遺伝子(β-3アドレナリン受容体遺伝子、脱共役タンパク質1遺伝子、β-2アドレナリン受容体遺伝子)を調べて、標準型・りんご型・洋なし型・バナナ型のタイプを判定
いわゆる、遺伝子診断であり、その取り扱いには慎重さが求められると思うのだが・・・心配である。
たとえば、
β3-AR変異(Trp64Arg) に関して、欧米の報告(e.g. NEJM Vol.333:352-354, 1995)と異なり、BMI・体重に影響を与えないという報告( The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol. 88, No. 12 5914-5920,2003 )がある。
逆に、
UCP2 promoter A allele頻度は白人より多く、2型糖尿病患者でのA alleleの影響がインスリン作用への影響が強い可能性が示唆されている( Diabetes 53:482-485, 2004 )。
検査自体は簡単かも知れないが、解釈によっては、深刻な社会的影響をもたらすかも知れない。平易に実施できるようになった遺伝子検査が、乱用により、「知らない権利」を侵害したり、差別的解釈がもたらせたり、いんちき商売に利用されたり・・・様々な負の影響も考えられる。
たとえば、メタボリック検診による企業負担回避のため、入社試験などのこの検査を義務づけられたらどうなるのだろう・・・役人主導のこの差別システムが、国民の差別化を促進する可能性があるのである。
遺伝子検査に関するガイドライン(pdf)は専門家でない人達の検査の実施・利用が念頭に置かれてない。
この検査キット販売に関して、乱用や誤用を防ぐ、regulationと一般国民への啓発も必要と思うのだが・・・桝添さん
by internalmedicine | 2008-04-06 09:07 | Quack