父親の若い頃からの肥満は子供の肝機能異常をきたす

子供の食行動などは父vs母、どちらの影響を強くうけるのだろう。普通考えれば、母との接触時間が子供には長いと思われ、故に、母の肥満の方が子供に影響を強く与えるような気もするのだが・・・

Parental Obesity and Offspring Serum Alanine and Aspartate Aminotransferase Levels: The Framingham Heart Study
Gastroenterology Vol 134:953-959 e1(April 2008)
背景・目的: 肥満と血中ALT、AST値は有意に相関。両親の肥満と子供の血中ALT・AST値の関連を考察

結果: Participants (n = 1732) of the
Framingham Offspring Study (50% 女性; 平均年齢, 42 歳)の1732名の参加者で、ALT/AST測定し、両親ともオリジナルのFramiinghamコホートで調査されていた人達

研究参加者は早期発症親肥満 (n = 193) 、後期発症親肥満 (n = 460)、親肥満なし (n = 1079)

ALT、AST高値と両親肥満を検討(家族相関一般化推定式)

結果: 子供への肥満多変量解析にて、早期発症肥満親では、親の肥満のないケースより、有意なALT増加 (P = .02)

早期発症肥父親を有する子供は、父親が肥満でない子供よりALT増加しやすい (オッズ比, 1.75; 95% 信頼区間, 1.06–2.89; P = .03)

早期発症肥満母の子供はALT増加に相関無し(オッズ比, 1.10; 95% 信頼区間, 0.76–1.59; P = .61)

両親の肥満とAST値は相関がない。

結論: 父親が早期発症型肥満の場合は、母親肥満事例と異なり、子供の血中ALT値増加オッズ比増加し、そのことにより、家族性のALT値増加発症と関連と思われる。


この考察では
早期発症肥満は遺伝的な影響が多く、このことがALT値増加と関連していると考えられる。
いくつかの遺伝子がすでに示唆されており、 human pro-opiomelanocortin (POMC) gene30 や melanin-concentrating hormone receptor 1 (MCHR1) のSNPsなど
これらが脂肪やエネルギー代謝の調整に重要な役割を果たし、leptinは肝繊維化と関連する。
今回の発見は、これらの肥満早期発症メカニズムと同様に肝へ病的過程が進行している減少ではないかという考察が成り立つ。ただ、家族ということで、外的要因の共有化や行動過程への影響の可能性も否定できない。

ALT増加がY染色体、あるいは、X染色体関連でリンクしている可能性があり、父系からの影響が大きいということが今後の研究へのヒントとなるだろう・・・


関連して読めば・・・以下の論文がおもしろい・・・
Peg1/Mest in obese adipose tissue is expressed from the paternal allele in an isoform-specific manner.
EBS Lett. 2007 Jan 9;581(1):91-6. Epub 2006 Dec 12.
Paternally expressed 1 (Peg1)/mesoderm specific transcript (Mest) is an imprinted gene, which is only transcribed from the paternal (father's) allele.

by internalmedicine | 2008-04-07 15:07 | 糖尿病・肥満  

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