ボクシング:アマチュアでも脳障害を生じる!

別にボクシングに恨みがあるわけではないが・・・ボクシングの頭部への悪影響は確定的となっている。実際の臨床的側面でどれほどの影響なのかはもうすこし解明が必要だろう。しかし、慢性的な損傷の存在が明らかになっている以上、業界は対策が必要。

プロテストではCT/MRIが導入されているようだが、アマチュアにはまだ規制がないし、そもそもCT/MRIなどで異常を検知されるより、さらに前の段階の脳損傷の証拠が蓄積されてきている。

文明国ではボクシングは追放されなければならない  2005-08-23
ヘッドギアしてもボクシングは頭に悪い 2006年09月12日

と、触れてきた。


アマチュアに関しては、アマチュア・ボクシングによる慢性外傷性脳損傷の存在:否定的論文なのだが・・・2007-10-05というのがあり、比較的寛容でも良いとおもわれたが・・


今回、やはりアマチュア程度でも問題となるという報告・・・

American Academy of Neurology 20 Annual Meetingでの発表
medpageから)

Source reference:Hietala M et al. "The Neurochemical Aftermath of Amateur Boxing" Abstract PL01.002, presented May 2.
14名のアマチュア・ボクサー(男性11名、女性3名)の正式な試合(最大4ラウンド)後7-10日後のCSF検査、そして3ヶ月後休養後の再検査

neurofilament light protein、タウ蛋白、glial fibrillarcy acidic proteinの濃度をastrogliaの障害マーカーとして測定
10名の健常者、非運動者対照と比較


* neurofilament light protein:ボクサー: 平均 (SD) 845 ± 1140 ng/L vs 対照:208 ± 108 ng/L (P=0.008)
* total tau:ボクサー 449 ± 176 ng/L vs. 対照:306 ± 78 ng/L (P=0.008)
* glial fibrillary acidic protein:ボクサー 541 ± 199 ng/L vs 対照 405 ± 138 ng/L( P=0.003).

研究者たちは、攻撃にタフであるほど、この値は高くなることも見出され、一試合での頭部打撃が15を超える場合は、7-8階に比べneurofilament light proteinが有意に高い。
glial fibrillary acid protein濃度は、総タウ濃度にはみられないが、頭部攻撃が続いたボクサーでは有意に高い。


業界はボクシングをフィットネスとして導入したがっているようだが、頭部打撲を繰り返すようなものは健康に悪いということを説明する必要がある。わたしは、ボクシングより最近の総合格闘技の方がより危険だとも思う・・・

by internalmedicine | 2008-04-15 08:54 | 運動系  

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