ループ利尿剤による高齢者の骨塩減少・骨折リスク増加

ループ利尿剤による、尿中カルシウム排泄増加により、骨塩減少をもたらす可能性がある・・・ということで、たしかにBMDは低下するという報告。

だが、実際どれくらいの骨折リスク寄与度になるのだろうか?

Loop Diuretic Use and Increased Rates of Hip Bone Loss in Older Men
The Osteoporotic Fractures in Men Study
Osteoporotic Fractures in Men (MrOS) Study GroupArch Intern Med. 2008;168(7):735-740.
ループ利尿剤使用の84名の男性、間欠投与181名と非使用者3004名を比較

補正後、総BMD平均年次変化は
ループ利尿剤非利用者: -0.33%(95%CI -0.36~-0.31%)と減少
間欠投与者: –0.58% (95% CI, –0.69% to –0.47%)
継続使用者: –0.78% (95% CI, –0.96% to –0.60%)

大腿骨・大転子のBMD、両者とも同様の変化



BMDによる骨折リスク
JAMA. 2000;284:972-977.

複利計算のようなので・・・
複利0.78%
0100
199.22
298.446084
397.67820454
496.91631455
596.1603673
695.41031643
794.66611596
893.92772026
993.19508404
1092.46816238


複利0.33%
0100
199.67
299.341089
399.01326341
498.68651964
598.36085412
698.0362633
797.71274363
897.39029158
997.06890362
1096.74857624


10年で8%程度の差というのは・・・どの程度の臨床的インパクトがあるのだろう?

by internalmedicine | 2008-04-15 12:04 | 内科全般  

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