喘息急性悪化という面でみた薬物療法の意義

喘息急性悪化という面でみた薬物療法の評価、レビューとメタ分析。

Pharmacological Management to Reduce Exacerbations in Adults With Asthma
A Systematic Review and Meta-analysis
JAMA. 2004;292:367-376.
【結論】吸入ステロイドは喘息の成人患者で単一で最も有効な治療法である。しかし、ステロイドを使用できない、しようとしない患者にはLT拮抗剤・調整剤の使用は合理性がある。LABAは低用量ステロイドでまだ症状がある場合加えてみる価値がある。
抗IgE治療はアレルゲンが判明し血中IgE値増加のある喘息若年成人の補助療法として考慮される。
【結果】
吸入ステロイドはプラセボあるいは短期的β2刺激剤使用に比べほぼ55%急性悪化を軽減(相対リスク[RR] 0.46:95%CI 0.34-0.62 P<.001)
プラセボと比較して、LABA(持続性β2刺激剤)は急性悪化25%減少と関連(RR, 0.75; 95% CI, 0.64-0.88; P = .43 for heterogeneity)し、吸入ステロイドに加えると、吸入ステロイド単独より26%の軽減効果がある(RR, 0.74; 95% CI, 0.61-0.91; P = .07 for heterogeneity).
吸入ステロイド増量するより併用療法が急性悪化を減少(RR, 0.86; 95% CI, 0.76-0.96; P = .65 for heterogeneity).
プラセボと比較してLT調整・拮抗剤は急性悪化を41% (RR, 0.59; 95% CI, 0.49-0.71; P = .44 for heterogeneity) 減少させるが吸入ステロイドより有効でない(RR, 1.72; 95% CI, 1.28-2.31; P = .91 for heterogeneity).
モノクローナル抗IgE抗体を吸入ステロイドと同時性に使用することで45%急性悪化を減少(RR, 0.55; 95% CI, 0.45-0.66; P = .15 for heterogeneity).

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田舎にいると医者の資質の問題だけでなく、患者の質の問題もあると痛感。喘息治療は吸入という、和漢方と無縁の薬物投与法を用いるせいか、吸入ステロイドなど自己中断することが多く、継続治療もままならない。喘息の炎症論を繰り返し力説し、炎症を押さえることのイメージ作りのためパンフレットなどもわたし、時間をかけているのだが・・・




市場をみてみると(参考

LT関連薬剤の評価が低いのがめだつ。日本ではこの薬剤は使われすぎか?でも併用治験がすくないし、吸入ステロイドのsparing effectなど長期的には有益性がアピールされるべき薬剤・・・、より安価な後発品でもでればコスト上の問題は解決してくると思われ・・・


グラクソのSeretide/Advair(fluticasone/salmeterol)は208[+>100]('00) → 850[>100]('01) → 1,631(+96)('02) → 2,214(+39)(£m)(03')と激しい伸びをしています。LABA単剤はいづれも減少しているようで、世界的には合剤ブーム

日本では、フルタイド・ロタディスクは130('01) → 160(+26)('02) → 180(+10)('03)(億円)、セレベントは13('02) →  50('03)(億円)とのびているが、パルミコートやBDP代換フロン製剤キュバールなどが発売されたこともあるがとあまり立ち上がりが良くない。


LABA+吸入ステロイド合剤がでれば、市場がのびるのかもしれない・・・
でも、患者のコンプライアンスは・・・・

by internalmedicine | 2004-07-21 12:08 | 呼吸器系

 

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