バイオマーカー(TnI、NT-proBNP、シスタチンC、CRP)は心血管リスク推定を改善
2008年 05月 15日
老人男性の住民レベルでのコホートにおける心血管原因による死亡リスク推定のため、著者らはbiomarkers (troponin I、 N-terminal pro–brain natriuretic peptide、 cystatin C、 C-reactive protein)の組み合わせで検討
従来の心血管リスク要因と組み合わせのモデルでリスク層別化改善した
biomarkers (troponin I、 N-terminal pro–brain natriuretic peptide、 cystatin C、 and C-reactive protein)
N Engl J Med Vol. 358(20):2107-2116May 15, 2008
中央値10年のフォローアップで、1135名中315名死亡(平均、71歳)で、136名が心血管疾患で死亡
今回のバイオマーカーすべてで、心血管疾患死亡リスクをCox proportional-hazards modelで推定
C統計は4つのバイオマーカーを組み入れたときにリスク要因として確立した
すべてのコホート群で、C統計:with biomarkers vs. without biomarkers, 0.766 vs. 0.664; P<0.001
baselineで心血管を有しない群で、C統計:with biomarkers vs. without biomarkers,0.748 vs. 0.688, P=0.03
Calibration、Global Model Fitに関する検討にて妥当と判断された
トロポニンI(TnI)、N-terminal pro–brain natriuretic peptide(NT-proBNP)といった心筋マーカーは““微小梗塞や軽度の心筋障害を鋭敏に検出”、心機能を表現しているのであろうか?
血中のシスタチンCは“腎糸球体から濾過され、近位尿細管で再吸収される。遺伝子は housekeeping type であり、炎症時に増加する急性相反応蛋白としての性質は持ちあわせていないため、細胞内外の環境変化に影響を受けずに、一定の割合で産生され”、 GFR マーカーとして有用性が高い(参考)
それと、炎症性マーカーC-reactive protein
ここで検討された従来の心血管疾患のリスク要因とは年齢、収縮期血圧、降圧剤治療使用の有無、総コレステロール、HDLコレステロール、脂質低下薬剤の使用の有無、糖尿病の有無、喫煙の有無、BMIである。
シスタチンCとCRPは、それぞれ慢性腎臓病と炎症性マーカーである。too early ,too less knowledeである“メタボリック・シンドローム”などの“腹囲”といった作為的に作られた指標にとらわれている間に、新しい知見が累積していく・・・
by internalmedicine | 2008-05-15 09:24 | 動脈硬化/循環器