新しい便秘薬:選択的高親和性5-HT4

NEJMには、便秘に対する2つの研究発表され、ひとつは麻薬による便秘で、もうひとつは習慣性便秘症のほう・・・

一般向けの“習慣性便秘症”解説:http://digestive.niddk.nih.gov/ddiseases/pubs/constipation/

selective, high-affinity 5-hydroxytryptamine4 receptor agonist:Prucalopride”の12週間トライアル

A Placebo-Controlled Trial of Prucalopride for Severe Chronic Constipation
N Engl J Med. Vol. 358:(22)2344-2354 May 29, 2008
【方法】 多施設、ランダム化、プラセボ対照、並行グループ、第3相トライアル
重症慢性便秘(≦2 自然、complete bowel movements:完全排便/週)
プラセボ、prucalopride 2 、4 mg/日 12週間

一次有効性エンドポイントは、週毎の自然完全排便患者比率
二次有効性エンドポイントは、日記と信頼性のあるアンケート
副事象イベント、臨床的検査値、心血管への影響をモニター


【結果】 有効性を620名の患者で評価
3回以上の自然完全排便週3回以上の比率
prucalopride 2mg: 30.9%
prucalopride 4mg: 28.4%
プラセボ:12.0% (P<0.001 for both comparisons)


12週にて
prucalopride 2mg: 47.3%
prucalopride 4mg: 46.6%
プラセボ:25.8% (P<0.001 for both comparisons)


腸機能・治療・便秘症状重症度知覚の患者満足度を含む他のすべての二次有効性エンドポイントは、prucalopride2mg、4mgとも12週後有意に改善

最頻度副事象は、頭痛と腹痛
心血管系への影響は少ない


否定されているようだが、 "human ether-à-go-go related gene (HERG) "はカリウムチャンネルと関係しているようで、TdPなどの不整脈の恐れがあり、心血管系への影響が危惧されたのだろう(http://lib.bioinfo.pl/pmid:17109852)。

調べてみると、10年ほど前から日本でも治験なされているようだ。“IBS”・”機能性便秘症”薬として5-HT受容体を用いることは、マーケットサイズを選んだのだろう。5-HT3受容体拮抗制吐剤は抗ガン剤の補助薬として随分高い薬価を維持し続けている。

メディア報道(http://health.usnews.com/articles/health/healthday/2008/05/28/two-drugs-show-promise-against-severe-constipation.html)をみてもやはり、マーケッティングをえられるかが大きな問題のようだ



ClinicalTrials.gov:prucaloprideを含む便秘薬

by internalmedicine | 2008-05-29 09:28 | 消化器  

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