かぜは気道感染の元:ライノウィルスのマクロファージへの影響

ライノウィルスは“かぜ”の原因、“かぜは万病の元”という次第で、ウィルス感染から細菌感染へ移行する、そして、上気道感染から下気道感染へ移行するメカニズム

Rhinovirus exposure impairs immune responses to bacterial products in human alveolar macrophages
Thorax 2008;63:519-525
【背景】ライノウィルス感染は、喘息の急性悪化の主要原因として合併症・死亡率に影響をもたらすと考えられ、嚢胞性線維症や、COPDの急性悪化を生じることも知られている。細菌・非定型細菌感染と関連が多く、肺胞マクロファージが気道のおもな免疫細胞とはたらき、細菌感染防御に重要。ライノウィルスが肺胞マクロファージの免疫反応に影響を与えるなら重要な反応となるだろう。
【方法】ライノウィルスが、ヒト肺胞マクロファージののサイトカイン遊離パターン認識受容体発現、貪食に影響を与えるかの検討

【結果】暴露後3日までに活性ライノウィルスがマクロファージ内に検出し、10日間ウィルスのRNA発現は持続する。

感染ライノウィルスは、マクロファージ遊離TNFα、IL8を増加させるが、UVにて不活化されたライノウィルスでは増加しない。

感染ライノウィルス傷害 lipopolysaccharide と lipoteichoic acid により、マクロファージからTNFα、IL8分泌を誘導する。

ライノウィルス・マクロファージ抗細菌免疫反応の障害では、IL10、PGE2やToll-like receptor 2のdownregulationを障害しない。

さらに、標識した細菌粒子のマクロファージ貪食反応は障害したが、ラテックス・ビーズへの反応は低下しなかった。


TLRのリガンドで重要なものはグラム陰性菌のLPS(リポポリサッカライド)に代表されるリポ多糖、リポタンパクなどの脂質である。これらの脂質は・・・主にTLR4、TLR2により認識される。

by internalmedicine | 2008-05-30 11:18 | 呼吸器系

 

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