高リスク2型糖尿病強化治療:異なる2つトライアル結果:ACCORD vs ADVANCE

一見相反する2つの報告・・・さまざまな解釈ができる。

Thiazolidinedione類がACCORDで92%vs58%、ADVANCEで17%vs11%という違いで、ACCORDでは、インスリン治療に伴う体重増加がみられ、特にインスリン+thiazolidinedione類の併用の場合多く、3.5kgの体重増加となっており、ADVANCEでは体重増加は著明でなかった。


この辺に、このトライアルの結果の違いが有るのかもしれない。エディトリアルをみながらそう思った。


疫学的研究にて、2型糖尿病における、HbA1c値と心血管イベントの関係が示されているが、すでに心血管疾患や付加的心血管リスク要因がある対象者で、正常血糖をターゲットにした強化治療が心血管イベントを減少させるかどうか検討したもの

Effects of Intensive Glucose Lowering in Type 2 Diabetes
www.nejm.org June 6, 2008 (10.1056/NEJMoa0802743)
ACCORD: The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group
【方法】ランダムか研究、10251名(平均年齢62.2歳)で、HbA1c中央値 8.1%
強化治療:目標HbA1c 6.0%
標準治療:目標HbA1c 7.0-7.9%

38%が女性、35%において心血管イベント既往

プライマリアウトカム: composite of nonfatal myocardial infarction, nonfatal stroke, or death from cardiovascular causes

強化治療の高死亡率知見がみられ、平均3.5年で中止された。

【結果】 ・1年時点で、安定中央値糖化ヘモグロビンは介入群で6.4%、標準値両群で7.5%

フォローアップ期間中、プライマリアウトカムが介入群で352名、標準値両群で371名
(ハザード比, 0.90; 95% 信頼区間 [CI], 0.78 ~ 1.04; P=0.16)

同時点で、強化治療にて257名死亡、標準治療で203名死亡
(hazard ratio, 1.22; 95% CI, 1.01 to 1.46; P=0.04)

補助を必要とする低血糖、体重増加(>10Kg)が強化治療群でみられた


【結論】標準治療に比較して、3.5年の正常糖化ヘモグロビンを目標とする強化治療は死亡率を増加させた。また、心血管疾患イベントを減少させていない。
この知見により、高リスク2型糖尿病患者に対する強化治療の以前認識されていなかった有害性が見いだされた。




Intensive Blood Glucose Control and Vascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes
The ADVANCE Collaborative Group
www.nejm.org June 6, 2008 (10.1056/NEJMoa0802987)
The ADVANCE Collaborative Group
【背景】2型糖尿病患者における、血管アウトカムへの強化治療の影響は不明であった

【方法】2型糖尿病患者11140名を標準血糖コントロールと強化血糖コントロールに割り付け
定義としては、6.5%以下に糖化ヘモグロビンにするためのgliclazide+他剤使用とした
プライマリエンドポイント: 大血管イベント(心血管疾患原因による死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的卒中)と主要微笑血管イベント(腎症・網膜症の新規発症・再発)

【結果】フォローアップ期間中央値5年後、平均糖化ヘモグロビン値は強化群で6.5%、標準コントロール群で7.3%

強化コントロール群では
大血管・小血管イベント組み合わせ頻度減少 (18.1%, vs. 20.0% 標準治療比較; ハザード比 0.90; 95% 信頼区間 [CI], 0.82 ~ 0.98; P=0.01)
大血管イベント (9.4% vs. 10.9%; ハザード比, 0.86; 95% CI, 0.77 ~ 0.97; P=0.01)
腎症頻度の減少(4.1% vs. 5.2%; ハザード比, 0.79; 95% CI, 0.66 ~ 0.93; P=0.006)を認めたが、網膜症は有意な差なし(P=0.50)


糖コントロール種類による大血管イベントへの影響は特にない
(強化コントロールによるハザード比 0.94; 95% CI, 0.84 ~ 1.06; P=0.32), 心血管疾患による死亡 (強化コントロールによるハザード比, 0.88; 95% CI, 0.74 ~ 1.04; P=0.12)、全原因死亡 (強化コントロールによるハザード比, 0.93; 95% CI, 0.83 ~ 1.06; P=0.28).

重症低血糖は、稀ならず生じ、強化コントロール群 2.7% vs 標準治療 1.5%; hazard ratio, 1.86; 95% CI, 1.42 ~ 2.40; P<0.001).

【結論】強化血糖コントロール戦略、gliclazide+他剤を含む方法で、10%の相対的減少により糖化ヘモグロビン6.5%に低下。大血管・小血管イベントを10%低下させ、特に、21%の腎症低下をもたらした




Intensive Glycemic Control in the ACCORD and ADVANCE Trials
www.nejm.org June 6, 2008 (10.1056/NEJMe0804182)

高血糖と心血管リスクの関係はあるが、UKPDSでは2型糖尿病にてHbA1c 8→7%と下がっても心血管リスク減少がみられなかった。例外はメトフォルミン・サブグループのリスク減少であった。

1型糖尿病研究、Diabetes Control and Complications Trial/Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications (DCCT/EDIC)では、長期ベネフィットが認められた。

ACCORD (Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes) triallinicalTrials.gov number, NCT00000620 [ClinicalTrials.gov] ) と ADVANCE (Action in Diabetes and Vascular Disease: Preterax and Diamicron Modified Release Controlled Evaluation) trialでは、心血管リスクはほぼ正常まで減少されたと考えられるものであった。

ACCORD もADVANCE も、2型糖尿病の強化治療と標準治療を比べたものだが、本質的に異なるものである。

ACCORD vs ADVANCE
年齢:62 vs 66
罹病期間:10 vs 
HbA1c基礎値:8.1% vs 7.2%
心血管既往:35% vs 32%
目標HbA1c:<6.0% vs ≦ 6.5%

治療
インスリン 77 vs 55  41 vs 24
SU剤 95 vs 87 74 vs 67
Thiazolidinedione 92 vs 5 17 vs 11
Incretin 16 vs 72 N 未報告
スタチン 88 vs 88 46 vs 48
aspirin 75 vs 75 57 vs 55

アウトカム
HbA1c 64 vs 7.5 6.4 vs 7.0

死亡
全原因 5.0 vs 4.0 8.9 vs 9.6
心血管 2.6 vs 1.8 4.5 vs 5.2
非致死的心筋梗塞 3.6 vs 4.6 2.7 vs 2.8
非致死的卒中 1.3 vs 1.2 3.8 vs 3.8
体重 3.5 vs 0.4 0.0 vs -1.0






両研究とも、インスリン有無や、様々な薬剤種類などバリエーションあり

ACCORDDは、血糖目標に薬剤限定がない
ADVACEは、sulfonylurea gliclazide (modified release) を限定

ADVACEでは、Thiazolidinedione治療少なく、ACCORDではrosiglitazoneが強化群で90%、標準値両群で58%



日本では諸外国のメガトライアル解釈、大御所たちが行い、製薬メーカーがらみで配布する。一般医師たちの脳は、大御所たちの意見と同一となり、金太郎飴状態になる。
そういう情報にけがされる前に、生文献を読んだ後の感想を書き込むことも日常臨床やっている医師たちには必要なのかもしれない。

by internalmedicine | 2008-06-07 09:25 | 動脈硬化/循環器  

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