ACCORD研究のインパクト

ACCORD試験中断は今年2月大きな話題となった。

ADA: American Diabetes Association Meetingと、NEJMオンラインにてフルテキスト開示となり、話題となっているようである。
ADA: Tight Glucose Control No Help for Cardiovascular Risk in Type 2 Diabetes


ACCORDトライアル AHA ステートメント  2008-02-22 につながってるわけだが・・・

UKPDSの大血管アウトカム(Lancet. 1998 Sep 12;352(9131):837-53.)を結果を忘れていたのだろうか?
・・・と、私はコメントしている。

些事といったら失礼だが、些事なエビデンスで、特定の薬剤を褒めそやすやり方が、製薬メーカー販売促進キャンペーンとリンクして日本ではおかしな事となっている・・・自戒が必要だろう。

高リスク2型糖尿病強化治療:異なる2つトライアル結果:ACCORD vs ADVANCE 2008-06-07
に関して、専門家はどのような考えなのだろうか?medpagetoday.comの一部を訳してみた。

ガイドラインなどは、採血結果項目で議論するのではなく、臨床的アウトカムを根拠にすべきというのがあらためて確認されたと思う。

PERISCOPE研究なども臨床的アウトカムを厳格にはもとめたものでないので・・・絶対化するのはまだ時期尚早なのだ。


ADA: ACCORD Diabetes Trial a Complete Bust
ADA:ACCORD糖尿病トライアルは完全な失敗
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ADA/tb/9739
超タイトな糖コントロールが、薄幸なACCORDトライアルの超過死亡と関連するだけでなく、2型糖尿病患者の心血管系イベントへ標準治療より有効性がないという結果

強化治療は、さらに、手助けを必要とするような低血糖頻度を増加させ、10Kg超も体重を増加させた。

ACCORD研究10251名の患者の正式報告がDr. GersteinらによりNEJMで報告され、オンライン上で発表されている。


ACORDはいきすぎた厳格な糖コントロールが高リスク糖尿病患者において心血管リスクを減少させるかどうかに示すために行われたものであった。

ACCORD強化治療群は死亡率増加のため中間解析後2月に中止されている。

平均フォローアップ3.5年で、当初5年の予定であったが、強化治療vs標準治療のハザード比は1.22(95%CI 1.01-1.46)

Dr. Gersteinは、プライマリエンドポイントである、非致死的心発作、非地してk胃卒中、心血管死亡に関して、介入群・対照群の2群間に有意差がないと述べている。

強化vs標準治療のハザード比は0.90(95%CI 0.78-1.04)

ACCORDにおいて、心血管疾患高リスク2型糖尿病患者は多リスク要因もしくは、心血管合併症を有する心血管リスク高度な状態で、2群のランダム化1:1で、ランダム化されている。

強化治療群では、薬剤の組み合わせで、インスリンを含み、糖化ヘモグロビンを6%未満にするようライフスタイル変容も行うものであった。対して、標準治療の目標は7-7.9%であった。

同じ薬剤で、抗糖尿病治療の全てのメジャーな薬剤を両群とも使用されており、強化治療群でより容量が多く、研究調査者との接触が多くなった。

1年治療後、厳格コントロール群では糖化ヘモグロビン中央値は6.4% (中間4分位 6.1% ~ 7%)で、標準値両群では7.5%(IQR 7% ~ 8.1%)

超過死亡報告確認数では、強化治療群では心血管疾患によるものが主で、41名の患者が卒中・心発作、鬱血性心不全、不整脈・侵襲的介入でより多く死亡したことになる (135 versus 94 死亡, HR 1.35, 95% CI 1.0 ~ 1.76)。心血管疾患死亡は、(特定の疾患でなく、)異なる様々な特異的原因であるようだ。その中で、非致死的心発作は、強化治療群で有意に減少を示している (HR 0.76, 95% CI 0.62 ~ 0.92)

強化治療群は、不利益をしめし、他のアウトカムにベネフィットはない
・助けを必要とする低血糖イベント:16.2% versus 5.1% (P<0.001)
・液貯留所見: 70.1% versus 66.8% (P<0.001)
・体重増加>10 kg: 27.8% versus 14.1% (P<0.001)

平均拡張期、収縮期血圧は厳格コントロール群で低いが、その差は約1mmHg


ADVACE研究者たちも心血管イベント予防にadvantageがないと報告している。しかし、ACCORDと異なる強化治療戦略では腎症発生頻度低下が認められている。
NEJMのエディトリアルでは、William T. Cefalu( Pennington Biomedical Research Center in Baton Rouge)は、糖化ヘモグロビン6%は過激的すぎということを示唆した意見。「目標糖化ヘモグロビン約7%が高リスクにおいて適当な値で、特に積極的治療が必要な時にはそうである」とのべ、高リスク患者のみのACCORDでもADVANCEでも、2型糖尿病患者の広汎なpopulationに一般化できるかどうか疑わしいと指摘している。

「7%未満に血糖を下げる目標が2型糖尿病患者の大部分に利益になるかどうか、心血管リスクの少ない患者へそれが利益になるかどうかは回答のない質問である」と Dr. Cefalu は述べている。


Harlan M. Krumholz( M.D., of Yale University)とThomas H. Lee, M.D.(Partners Healthcare System in Boston)は、ACCORD と ADVANCEは、リスク要因測定の治療に注目するのは誤りであくまでも臨床的アウトカムに注目すべきであると述べている。
「ネットの臨床的ベネフィット評価は、イベント回避あるいは生存率の改善に基づいて行われるべきである」と述べている。


Drs. Krumholz と Leeは、治療ガイドラインは安全性を目標とする特異的戦略下に伴う治療目標、たとえば、糖化ヘモグロビン値、血中脂質とリンクすべきであると述べている。

「ガイドラインとパフォーマンス測定は、ベネフィットがあると知られている介入についてのエビデンスを反映したものでなけらばならない」

by internalmedicine | 2008-06-09 08:53 | 動脈硬化/循環器  

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