高照度光療法とメラトニン:グループケア施設における認知症への効果
2008年 06月 11日
whole-day bright (± 1000 lux) というのは一般的な光療法に比べてむしろ少ないくらいと思うのだが・・・
老人施設に関して、“採光”を“再考”すべき・・・
気分的に落ち込んでいる患者をみて、「外に出てみたら」と勧めたり、採光のよい部屋に帰ると改善したというエピソードを何度か経験している。私の働いた施設ではICUの患者を散歩と称して外に連れ出すという大技を使っていた・・・なんとそれをきっかけに人工呼吸離脱成功した患者も多くいた。
採光が難しい場合は、照射器具ということになるのだろうが・・・光療法をググると・・・regulation必要なのでは・・・と感じる・・・ひどい宣伝の数々
概日リズムの障害は、認知機能と気分変調、認知症患者の睡眠障害に関与する睡眠障害を来すことが知られている。
オランダの老人施設のランダム化トライアルで、Riemersma-van der Lek らは、bright lightとメラトニンにて、認知症のこれらの症状を緩和できるかを確認
ケア施設で、日中brigh lightとdim lightをランダムに割り当て、さらに、メラトニンとプラセボをランダムに割り当てた。
全日bright lightは、軽度認知機能・非認知症状を改善した
メラトニンは入眠と睡眠時間改善と関連するが、blight lightを併用しない場合気分への障害がみられた
Effect of Bright Light and Melatonin on Cognitive and Noncognitive Function in Elderly Residents of Group Care Facilities
A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2008;299(22):2642-2655.
【序文】認知機能低下、気分、行動、睡眠障害、ADLの制限は、認知症のヒトだけでなく、そのケア担当者にも及ぶ。概日リズムの障害はこれらの症状と関連がある。
【目的】認知・非認知昨日症状の発症が、概日タイミングシステムの2つの主な同調装置といえる、brihgt lightとメラトニンの長期使用により緩和されるかどうか、検討。
【デザイン・セッティング・参加者】長期・二重盲検・プラセボ対照化、2×2因子ランダム化トライアル(1999-2004、189名、12のグループケア施設、オランダ;平均(SD)年齢 85.8(5.5)歳、90%女性、87%認知症)
【介入】長期昼間治療ランダム割り当て
終日bright(± 1000 lux) or dim (± 300 lux) light
夕刻メラトニン (2.5 mg) or placebo
平均15(SD;12)ヶ月(最大3.5年)
【主要測定】認知・非認知症状の標準化スケール、ADL制限、副作用の影響を6ヶ月毎評価
【結果】Lightにより、認知機能障害改善は、MMSE平均0.9ポイント(95%信頼区間[CI], 0.04-1.71)で、相対的に5%
Lightは1.5ポイント(95% CI, 0.24-2.70)のCornell Scale for Depression in Dementiaを改善、19%に相当
Lightは年あたり1.8ポイント(95% CI, 0.61-2.92)、看護情報によるADLスケール改善、53%に相当
メラトニンは、入眠までの時間を8.2分短縮(95% CI, 1.08-15.38)、19%に相当し、睡眠時間27分(95% CI, 9-46)増加、6%に相当
しかし、メラトニンは Philadelphia Geriatric Centre Affect Rating Scaleにおけるスコアにおいて、陽性効果t (–0.5 points; 95% CI, –0.10 ~ –1.00) と陰性効果 (0.8 points; 95% CI, 0.20-1.44)をもたらした。
メラトニンは、lightとの併用だとみられなかったが、Multi Observational Scale for Elderly Subjects scaleのwithdrawn behaviorを1.02ポイント(95% CI, 0.18-1.86)閉じこもり行動を増加させた。
併用治療は、Cohen-Mansfield Agitation Index を3.9ポイント(95% CI, 0.88-6.92)攻撃的行動を改善、9%に相当
睡眠効率増加3.5%改善(95% CI, 0.8-6.1%)
夜間不隠(restlessness)時間あたり1.00分(95% CI, 0.26-1.78)、すなわち9%(治療×時間 効果)改善
【結論】Lightは軽度、認知症の特定の認知・非認知症状を改善
メラトニンによる気分への副作用のカウンターアクトを考慮すれば、lightとの併用のみ推奨する。
by internalmedicine | 2008-06-11 09:44 | 精神・認知