睡眠時無呼吸:アルツハイマー病・アルコール依存の脳に類似:乳様体萎縮

無呼吸患者さんたちには、結構ショッキングな話

NYTimes June 11, 2008, 10:21 amに報道

Glutamic acid stimulation of the perifornical-lateral hypothalamic area promotes arousal and inhibits non-REM/REM sleep
Neuroscience Letters Volume 439, Issue 3, 18 July 2008, Pages 281-286
無呼吸では記憶をためる部分の萎縮が生じる、睡眠呼吸障害が重篤な健康的驚異となる。
脳のスキャン研究で睡眠時無呼吸と脳の組織萎縮が証明された

睡眠中の呼吸障害で、重篤な脳損傷、記憶・思考に関する悪影響を証明した研究




43名の睡眠時無呼吸患者のMRI(66名対照比較)で、20%ほど、特に左側の乳頭体の縮小が示された。これは、アルコール依存症やアルツハイマー病に関係する記憶低下の患者でも萎縮することが知られている。
理論的には低酸素による影響も考えられ、血管痙縮、組織酸素供給の不足のための脳細胞死亡を齎す。また、炎症性プロセスが生じ、心血管・卒中などと同様に組織障害をもたらすそういう病的課程が想像できる。

睡眠障害による治療にかかわらず、乳様体の異常が生じた事実は早期治療の重要性を示唆するのかもしれない。
また、ビタミンB1サプリメントトライアルがなされているとのこと



乳頭体は有髄線維を豊富に含み、視床下部の中では特物の位置を占めている。乳頭体は内側および外側乳頭体核より成る。内側乳頭体核は外側乳頭体核より大きいが、そのニューロンは比較的小さく、有髄線維のカプセルに包まれている。外側乳頭体核はずっと小さくて、「とくにヒトでは、見分けるのがむずかしい。」そのニューロンは内側乳頭体核のものよりも大きく、染色されやすい。乳頭体への入力線維は、海馬支脚(交連後部脳弓を介して)、視床下部腹内側核、中脳(乳頭体脚を介して)、などからくる。脳弓の線維数は非常に多い。脳弓線維は内側乳頭体核に終止するが、中には乳頭体を通り越して中脳被蓋ないし中心灰白質でシナプス結合するものもある。中脳から乳頭体への入力線維は、中脳中心灰白質および中脳網様体にある楔状核から起こり、乳頭体脚を通ってくる。乳頭体からの出力線維は大脳辺縁系の重要な要素である。内側乳頭体核から出る線維は明瞭な上行性線維束である主乳頭体束を作り、これは吻背側方へ向かう乳頭体視床路と、尾側方へ向かうこれよりも小さい乳頭体被蓋束に分かれる。乳頭体視床路線維は主として内側乳頭体核より起こり、視床前核群でシナプス結合する。視床前核は帯状回でシナプス結合する線維を出す。「海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回」の回路は大脳辺縁系の中心的な回路としてしられている(Papezの情動回路)。乳頭体被蓋束の出力線維は内側乳頭体の背側部より起こり、中脳被蓋でシナプス結合する

by internalmedicine | 2008-06-12 13:46 | 呼吸器系  

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