スタチン抵抗性:HMGCRの選択的スプライシングの役割

ほんとに、RNAの時代だなぁ・・・

選択的スプライシング(alternative splicing): 
(Nature Reviews Neuroscience 8, 819-831 (November 2007))
ある一つのmRNA前駆体からいくつか異なった組み合わせのエクソンを持つmRNAが作られることがある。このようなmRNAを生み出す機構は選択的スプライシングと呼ばれ、ヒトの遺伝子の半数程度に見られるという見積もりもある。これに対し、ただ1通りのエキソンの組み合わせのみのmRNAが作られる反応は構成的スプライシングと呼ばれる。選択的スプライシングによって、一つの遺伝子から活性の異なる複数種のアイソフォームと呼ばれるタンパク質が作られる。また、発生段階や組織など環境に応じて、時間的・空間的に選択的スプライシングを制御することによってアイソフォームを作り分けている例も知られている。Wiki

多くの遺伝子の発現は、スプライス部位の選択で制御される。エキソン部分が前後のイントロンと一緒になってイントロンとして働くと、そのエキソンを欠くタンパク質となる。この機構により、1つの転写単位から複数のタンパク質をつくることができる。免疫グロブリンや骨格タンパク質の例が特に有名。http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/transcrp.htm



Alternative Splicing of HMGCR is Associated with Plasma LDL Cholesterol Response to Simvastatin
(Circulation. 2007;116:II_177.)
3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A reductase (HMGCR)のSNPsに関連した変異で、HMGCR exon、splice siteと、 5' and 3' flanking regionの1.4kbの部位、をresequenceしした。
CAP研究の上位5%と下位5%を対象

Intronic SNP 20144 (rs3846662) は有意にLDLのスタチン反応性高低と関連
CAP cohortのLDL減少14.8%と関連した。

SNP 20144はexon 13に隣接し、HMGCR alternative splicingの部位で、exon 13(HMGCRv 1)1を欠如したsplice variantの発現で測定し、このSNPがHMGCRのalternative splicingと関連すること判明
in vitroスタチン曝露HMGCRv1の発現と、in vivoの総コレステロール、LDL、apoB、TGの減少率の少なさと相関した。

Phenotypic predictors of response to simvastatin therapy among African-Americans and Caucasians: the Cholesterol and Pharmacogenetics (CAP) Study.
Am J Cardiol. 2006 Mar 15;97(6):843-50. Epub 2006 Jan 27


Ronald Krauss( Children's Hospital Oakland Research Institute ;カリフォルニア)は、9%に影響を及ぼす変異であり、これは大きな意義をもつと述べている。

スプライシング中、最初の遺伝子産物、mRNAの一部が取り除かれ、結合される。正常なスプラス化HMGCR mRNAは、早期でクリティカルな役割を果たし、スタチンにより強く抑制される。
一方、選択的スプライシングから生じた場合はコレステロール抑制に抵抗性となる。
”選択的スプライシング”は、シンバスタチンに対するapoリポ蛋白Bの反応性減少ケースの15%で、TG反応性の6%で関わっている。
スタチン反応性に関する既知の結合要因は、年齢、人種、喫煙であり、LDLレスポンス種類の24%、apoBの29%、TGの8%に関わるコモンな要因であるとKraussは述べている。

Marisa Wong Medinaは、シンバスタチントライアル試料サンプルからのcell lineから、スプライス化されたmRNAの2つを測定し、選択的スプライシングコピーの比率が大きいほど、薬剤反応性低下することを見いだした。
選択的スプライシングの他のベネフィットを解釈すれば、コレステロール代謝に関する理解が深まる。コレステロールにつながる経路は多くの分枝があり、炎症に関連するモノもあり、コレステロール合成経路の分子産生をブロックすることで、心臓疾患の減少に効果があると考えられている。この効果の遺伝子調整、選択的スプライシングの役割、コレステロール合成系の他の遺伝子などが新しい薬剤開発のヒントとなるだろう。

by internalmedicine | 2008-06-17 12:07 | 動脈硬化/循環器  

<< protein Z抗体と lu... 骨粗鬆症ガイドライン:NOF >>