2型糖尿病:初期インスリン治療の重要性

確かに長期間ブドウ糖毒性にさらされると膵臓のベータ細胞は持続性障害を生じることとなるのだろう。故に、早期に強化インスリン治療を行うことは理にかなっている。
現在の段階的というか、後追い治療に対して一石を投じた報告

なお、インスリン薬剤製造会社が一部資金出しているので・・・バイアスには注意が必要とのこと、また、中国での知見なので、ムコダイン同様・・・一抹の・・・

新規診断2型糖尿病患者に対する早期強化インスリン治療は、経口血糖降下剤より、β細胞機能回復維持にとって好ましいアウトカムが得られ、血糖寛解を引き出す。


中国における382名の新規診断2型糖尿病、3つの初期治療へのランダム研究
・continuous subcutaneous insulin infusion (CSII, via pump)
・multiple daily insulin injections (MDI, with bedtime NPH and pre-meal regular insulin)
・oral hypoglycemics (a sulfonylurea, metformin, or both)



Effect of intensive insulin therapy on beta-cell function and glycaemic control in patients with newly diagnosed type 2 diabetes: a multicentre randomised parallel-group trial.
Lancet. 2008 May 24;371(9626):1753-60.
【方法】382名、25-70歳、中国の9つのセンター(2004年9月から2006年10月まで)
空腹時血糖 7.0-16.7 mmol/Lをランダムにインスリン治療(CSII or MDI)か傾向血糖降下剤に割り付け、2週間正常な血糖維持して治療終了というプロトコール
患者は後食事・運動療法のみでフォロー
治療前後、1年フォローアップ時にIGT試験、血糖、インスリン、プロインスリンを測定
プライマリエンドポイントは、血糖寛解期間と1年後の寛解率
per protocolで行う
【結論】インスリン群CSII群:97.1% [133 of 137] 、MDI群:95.2% [118 of 124]で、経口血糖降下剤(83.5% [101 of 121])で、到達期間はそれぞれ、4.0 [SD 2.5]、5.6 [SD 3.8] 、9.3日[SD 5.3]であった。

1年後寛解率は、インスリン投与群 (51.1% in CSII and 44.9% in MDI) では有意に、経口血糖降下剤群 (26.7%; p=0.0012)より高い(26.7%; p=0.0012)。

HOMA Bにて表現されるβ細胞機能と急性インスリン反応性は、強化介入群後有意に改善する。急性インスリン反応の増加は、インスリン群で維持されるが、有意に経口血糖降下剤群では減少する。



ACCORDトライアルにて、強化治療に関して引け目を感じていたが、発症時期のほどない2型糖尿病患者に対して、積極的インスリン治療はその後のアウトカムに対して良好な経過をきたいできると思われる。

by internalmedicine | 2008-06-18 10:47 | 糖尿病・肥満  

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