揺れるALS疾患概念:運動ニューロンのみでなかった、TDP-43異常
2008年 06月 23日
TDP-43 DNA結合蛋白の病態への影響は、ALS患者の中枢神経系への多くの領域に広がっている。ペンシルバニア大学、John Q. Trojanowskiは、中枢神経系への影響を記載。
歴史的には、ALAは神経変性疾患で上位・下位運動ニューロンに限定した病変と考えられてきた。
ALSは選択的に錐体路運動系にのみ選択的に影響をあたえるのでなく、多系統神経変性性TDP-43 proteinopathyと考えられる病態という考えである。TDP-43はALSの根本原因蛋白であるが、その機能の理解はまだ不十分である。蛋白は偏在し、転写発現やalternative splicingがみられる。
上位・下位運動ニューロン変性のみで、他の疾患プロセスがないのがこの疾患概念であった。
この疾患の変性・病理が全脳領域に存在することは今まで記載がなかった。
対照ではみられない小脳の変化がALS患者で見つかり、認知機能障害のないALよりあるALSでこの変化がみられたが、まだ意義付け不明。
Geser F, et al "Evidence of multisystem disorder in whole-brain map of pathological TDP-43 in amyotrophic lateral sclerosis"
Arch Neurol 2008; 65: 636-641.
上位・下位運動ニューロン意外に、ニューロン性・グリア性のTDP-43異常が、CNSの多くの部位にみられた。ALS患者の黒質・線条、新皮質領域、小脳などにみられたが、対照では無かった。
by internalmedicine | 2008-06-23 11:29 | 運動系