マルファン症候群の大動脈起始部病変治療にARB有効
2008年 06月 26日
FBN1変異は多臓器系に影響を与え、大動脈起始部の拡大・解離が大きな問題となる。
現行治療は心臓画像検査と大動脈への血行動態ストレスを減ずる薬物治療に限定されたものである。β遮断剤の使用がよく行われているが、ACE阻害剤やCCBなども、β遮断剤非認容例、不応例で行われている。マルファン症候群のマウスモデルでの研究で、細胞外基質fibrillin-1がTGF-βをtranformするシグナルを過剰に出し、マルファン症候群の多彩な特徴を示す原因となるという知見がある。
大動脈壁と大動脈起始部の拡大の進行をTGF-β抗体や、TGF-βシグナル抑制作用をもつARBであるロサルタン(ニューロタン R)を用いることで抑制もしくは消失可能という報告がある。一方、β遮断剤であるpropranololは、大動脈での病態継続を示し、拡大率減少効果は微弱という報告がある。
Angiotensin II Blockade and Aortic-Root Dilation in Marfan's Syndrome
N Engl J Med. Vol.358:(26) 2787-2795 June, 2008
大動脈起始部変化平均(±SD) ARB前治療中 3.54±2.87 mm /年 vs ARB 0.46±0.62 mm (P<0.001)
大動脈起始部拡大の正常からのdeviationをzスコアで表現すると、ARB治療後、年毎に平均差1.47 z値 (95% 信頼区間, 0.70 - 2.24; P<0.001)減少した。
マルファン症候群で特に拡張するsinotubular junctionでもARB治療による変化率低下は有意であった(P<0.05)
それより遠位部の上行大動脈領域では、拡張の正常化は難しく、ARB治療で反応せず
Ref.)
骨格筋は損傷や病的状態に対して迅速に修復する力を持つ。マルファン症候群は、細胞外fibrillin-1の欠損で生じ、ミオパチーを発現し、運動にかかわらず筋肉量が増加できない。マルファンの特定の臨床所見はTGF-βの過剰シグナルによるとされ、培養筋芽細胞の最終分化の抑制因子として知られている。遺伝性心筋障害のプロセスにも関連している可能性・・・Duchenne muscular dystrophyにも・・・
Nature Medicine 13, 204 - 210 (2007)
ARB毎のTGF-β抑制作用の強度に関して、情報を集めようと思う・・・のだが・・・
by internalmedicine | 2008-06-26 10:39 | 動脈硬化/循環器