細菌性結膜炎の所見と症状に基づく治療方法:無駄な抗生剤治療を少なくするため

10歳代の性感染症が増えてきて、最近1日処方で治療可能な方法が健保適応されましたが、安易に処方すると、対象患者の認識の甘さで、細菌耐性を生じ、さらにピンポン感染などいつまでも再発を繰り返しそのうち薬剤耐性を生じ、さらに広範にひろげてしまうことや、不妊の原因にもなるということで、関連する医師たちは“安易に新規薬剤を処方したくない”との新聞コメントがかかれてましたが、2ちゃんねるでは“馬鹿医者氏ね”ですもんねえ・・・

気象庁に猛暑がつづいていることに腹たててクレームをかけるアホを聞くと日本はいったいどうしてしまったんだろうと・・・謙譲という言葉が日本からなくなりつつあるのは・・・


話は、STDではなく、結膜炎の診断治療を集団としての合理性にもとづいて考えてものです。

周りの本をみると、“結膜炎の的確な治療は,正しい病因診断によってはじめて可能になる.結膜炎をみた場合,まずそれが感染性か非感染性かを鑑別し,さらに感染性であればその原因をつきとめる.充血と眼脂はすべての結膜炎に共通の症状としてみられ,そのほかに濾胞,乳頭などの所見の有無が鑑別の手がかりとなる.さらに,眼脂の塗抹標本や抗原検出キット,細菌培養検査,ウイルス分離などの検査を行い病因を確定する.”と物の本には書いてありますが・・・この通りやればかなりのコストと無駄があるわけです。


“3つの単純な質問で細菌性結膜炎の診断に役立てることができる。

Rietveldらは、177名の急性結膜炎患者にglued eyes、目のかゆみ、結膜炎の既往について質問紙、もし、“glued eye”(粘着した目:眼脂でべたべたしていることでしょうか?)で結膜炎の既往が泣く、かゆみがなければ細菌性感染の可能性が高いと私的。もし“警告症状”がなければ、抗生剤は処方すべきでなく、追加検査も必要ないと述べている。”
という、合理性を追求した臨床的診断方法・・・


Predicting bacterial cause in infectious conjunctivitis: cohort study on informativeness of combinations of signs and symptoms
BMJ 2004;329:206-210 (24 July), doi:10.1136/bmj.38128.631319.AE (published 16 June 2004)

【結果】
指標 Odds比(95% CI) 回帰係数 臨床スコア
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2つのglued eyes 14.99 (4.36~51.53) 2.707 5
1つのglued eye 2.96 (1.03~8.51) 1.086 2
かゆみ 0.54 (0.26~1.12) –0.61 –1
結膜炎の既往 0.31 (0.10~0.96) –1.161 –2
Area under ROC curve (95% CI) 0.74 (0.65 to 0.82) - -
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【結論】治療カットオフ値を2とすると、治療すべきであり正しく処方された群は67%で、治療すべきでなく正しく処方されなかった群は73%。
抗生剤治療を80%から40%と減らすことができる。


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【愚痴】
上記、処方すべきでなかったのに処方された患者、処方すべきであったのに処方されなかった患者に関しておそらく一方的な報道をされるのでしょうねえ(メディア不審・不信)
40%の抗生剤カットにより利点は全く報道されず・・・これも医療ミスとして断定されるであろう現状の日本では・・

※臨床に100%はあり得ない。より良さを追求すべきであっても

by internalmedicine | 2004-07-23 10:26 | 感染症  

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