抗うつ薬種類によらず投与直後には自殺注意

昨日のJAMAの抗うつ薬種類によらず投与直後には自殺注意は、各メディアも紹介したようです。おそらくかかる製薬会社からのアクションもあると思われます。


日本における気分障害の実態をみてもかなり多くの患者さんが潜んでおり、“自殺者、過去最多3万4千人=経済苦激増、初の8千人超-03年警察庁まとめ”であり、交通事故死者の数倍というインパクトで、しかも生産性の高い若年層ということで国家的な損失になるわけです。


“うつ病”という病名だと、どうも患者さんに抵抗があるようだし、
“心の風邪ともいわれる「うつ病」”というように軽く考えるのもどうかと・・・



抗うつ薬投与時は自殺に関するサポートも必要!しかも急務なようです。一医療機関ではいかんともしがたいわけで、コミュニティーレベルの対応が必要なのでは・・・
抗うつ剤服用開始後の自殺行為のリスクは4つの抗うつ薬、SSRI、三環形抗うつ薬を含めて同様であるとJAMA(2004;292:338-43)で報告

マッチ化された症例対照研究(UKGeneral Practice Research Database)

特に投与開始1日めから9日間(RR 4.07 (95% CI, 2.89-5.74))・1ヶ月間に自殺行為が多い。
新規診断非致死的自殺行為の(古い世代の三環形抗うつ薬)dothiepin使用との相対リスク(年齢、性、カレンダー時、抗うつ剤処方から自殺後遺までの期間補正)
amitriptyline 0.83 (95% confidence interval, [CI] 0.61-1.13)
fluoxetine 1.16 (95% CI, 0.90-1.50)
paroxetine 1.29 (95% CI, 0.97-1.70)

致死的自殺も同様。

処方後1-9日で90日以上処方された患者と比較するとRR38(95% CI, 6.2-231)。




Zung うつ病自己評価尺度を用いた診療に関する検討がなされております。わたしの方も外来で活用しておりますが、
診断がアンケート一枚でできるとは思えず、安直な診断治療がなされないことを願っております。

by internalmedicine | 2004-07-23 12:21 | 医療一般  

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