もう・・・高血圧判定は収縮期だけでよいのでは? by Lancet

血圧測定の最初が拡張期だったせいか、未だに、拡張期血圧の亡霊につきまとわれているだけで、細かいことにこだわらず、拡張期血圧はいらないのでは?・・・という、勇気ある意見をやっと書いてくれた。

収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、平均血圧  2005-09-30でもふれているが、もっと踏み込んだ話

Viewpoint:Systolic pressure is all that matters
DOI:10.1016/S0140-6736(08)60804-1
The Lancet 2008; 371:2219-2221

血圧は2つの要素、すなわち、拡張期血圧と収縮期血圧で表現され、拡張期血圧の上昇を伴わない収縮期高血圧(isolated systolic hypertension:ISH)が拡張期高血圧より頻度が多く、収縮期血圧こそ、高血圧に起因する広汎な疾患に、拡張期血圧より、より関与するとされる。
Lewington S, Clarke R, Qizilbash N, Peto R, Collins R. Age-specific relevance of usual blood pressure to vascular mortality: a meta-analysis of individual data for one million adults in 61 prospective studies. Lancet 2002; 360: 1903-1913.

Asia Pacific Cohort Studies Collaboration. Blood pressure indices and cardiovascular disease in the Asia Pacific region: a pooled analysis. Hypertension 2003; 42: 69-75.

Lawes CMM, Vander Horn S, Rodgers A. Global burden of blood pressure related disease, 2001. Lancet 2008; 371: 1513-1518.



しかし、目標を 収縮期血圧 vs 拡張期血圧とすることに混乱が生じ、広く医療界に収縮期血圧の関して理解不足を生じることとなる。 

今回著者らは、この混乱を回避するため、単純かした視点を低次、診断閾値、治療閾値の二次元的表現である。

血圧の特性は加齢とともに変化し、収縮血圧は年齢とともに増加する。
だが、拡張期血圧は50歳あたりまで増加し、その後は低下する。心血管リスクが増加する年齢に相当する。
結果、50歳を超えてから収縮期血圧の頻度が増大する。

加齢群で拡張期血圧を診断・リスク層別とするのは非論理的である。

若年群で、収縮期血圧、拡張期血圧は、末梢血管抵抗を増大させる。
だが、年齢とともに、構造変化や病的過程が進行する。大血管は大動脈stiffeningを生じ、血管complianceの低下をもたらす。大動脈系の緩衝容量を低下させ、拡張期血圧の低下、脈圧の増大をもたらす。
脈圧の増大は故に、大血管疾患を示唆し、心血管リスクの増大に寄与する。
しかし、収縮期血圧評価でこのリスク補足は十分である。なぜなら、大血管構造の変化は非可逆性であり、収縮血圧増加にてコントロール困難であるからである。

(要するに治療決定過程において、拡張期血圧は情報として役立たず・・・)

著者らは50歳を超える年齢の人では収縮期血圧のみ臨床的に注目すれば十分である
理由は4つ
1) 収縮期血圧値は拡張期血圧より測定容易であり、予後推定として、拡張期血圧値より優秀。実際、高リスク状態の拡張期血圧は正常から低い状況の頻度が多い。

2) 2つの異なる数字を高血圧の概念に用いることで、多くの患者に混乱をもたらしており、公衆衛生キャンペーンとしても、一つの数字の方が、一般に通じやすいし、単純化・プラグマティズムは重要。

3)医師たちも多く、混乱しており、拡張期血圧をまだ臨床マネージメントプログラムの意志決定ガイドとして用いている状況にある。

4)60歳超の患者では、一つの数字を公衆衛生的メッセージとすることで、収縮期血圧の治療・コントロールを劇的に改善する可能性があり、心血管合併症や死亡率減少をもたらす可能性が高い。


by internalmedicine | 2008-06-30 10:52 | 動脈硬化/循環器  

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