院外ACLS:vasopressin併用は無効

いつまで続く・・・vasopressin討議・・・と思ってたが、これで一段落?
(日本では、社会インフラも乏しく、院外ACLSというのが普及しないままだが・・・)


院外CPR時のエピネフリン+vasopressin vs エピネフリン単独比較トライアル

Vasopressin and Epinephrine vs. Epinephrine Alone in Cardiopulmonary Resuscitation
N Engl J Med. Vol.359:(1)21-30 July 3, 2008

Trial:http://clinicaltrials.gov/show/NCT00127907
【背景】心停止中のACLSの間、Vasopressin+エピネフリンがそれぞれの単独より有効であるかもしれないという報告があったが、臨床的推奨までいたるエビデンスが存在しない

【方法】 多施設研究にて、ランダムに院外心停止患者で、エピネフリン1mg+vasopressin 40IU vs エピネフリン1mg+プラセボ比較、その後、もし循環系が回復しない場合はもう一度同じ薬剤組み合わせを行い、エピネフリン追加を続ける
プライマリエンドポイントは入院までの生存;セカンダリエンドポイントは、自発的循環改善、退院時生存、良好な神経学的回復、1年生存率

【結果】 1442名をエピネフリン+vasopressin、1452名をepinephrine単独
epinephrine単独群に比べ併用群で男性が多いという背景バイアスが存在(P=0.03)したが他は同様

併用群と単独群では、
生存入院 (20.7% vs. 21.3%; 死亡相対リスク, 1.01; 95% 信頼区間[CI], 0.97 ~1.05)
自発循環への回復 (28.6% vs. 29.5%; 相対リスク, 1.01; 95% CI, 0.97 ~ 1.06)
退院時生存率(1.7% vs. 2.3%; 相対リスク, 1.01; 95% CI, 1.00 ~ 1.02)
1-year survival (1.3% vs. 2.1%; 相対リスク, 1.01; 95% CI, 1.00 ~ 1.02),
退院時神経学的回復 (37.5% vs. 51.5%; 相対リスク, 1.29; 95% CI, 0.81 ~ 2.06)

【結論】院外心停止に対するACLS エピネフリン単独と比較して、vasopressin+エピネフリンはアウトカムを改善しない。

by internalmedicine | 2008-07-03 08:42 | 集中・救急医療  

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