肥満は”依存症”としての側面がある:肥満ラットのドパミンシグナル障害の存在
2008年 07月 30日
肥満と"reward system"(報酬系)に関する研究
肥満傾向と中脳辺縁系ドーパミンシグナルの障害の関係を示した論文が FASEB Journal (http://www.fasebj.org) 8月号に掲載とのこと(ソース:http://www.eurekalert.org/pub_releases/2008-07/tuhs-opt072908.php)
中脳辺縁系での神経伝達物質としてのドパミン放出はeuphoriaと関連し、薬物依存と関連する神経生化学的信号と考えられている。
肥満傾向ラットは、肥満抵抗性ラットに比べ、ドーパミン基礎値は50%ほど少なく、脳報酬系における刺激時ドーパミン遊離が有意に減衰している。
脳のドーパミン合成や遊離の不足が、生下直後にすでに明確であると、Emmanuel Pothosらは述べてる。
今までの研究から、食事摂取がドパミン遊離増加させ、食の楽しみを介する回路を形成している事が判明していた。また、慢性的な食事不足で体重が減少するとともに、ドパミン濃度が低下し、ベースラインのドパミン値が回復するよう食事量が増やそうとする。
肥満のメカニズムの一つに、ドパミン信号の低下が過食を生じる可能性があり、中枢ドパミン受容体を減少させているというヒトの研究と合致する。
ドーパミンシグナルの減衰は過食につながる。
Pothosらは肥満傾向、肥満抵抗性ラットを用いた研究で肥満抵抗性ラットより20%多く食事をとる。電気的誘発された神経終末から遊離されるドパミンで測定した。
現在は肥満は代謝的なものとしてアプローチされているが、依存性疾患としてのアプローチも必要で、エネルギーバランス維持のための体重調整機能としての辺縁系の役割が今後肥満研究にとって大事だろう。
関連報告:Association of Low Striatal Dopamine D2 Receptor Availability With Nicotine Dependence Similar to That Seen With Other Drugs of Abuse
Am J Psychiatry 2008; 165:507-514
他の薬物依存と同様、ニコチン依存ではdorsal striatal D2/D3 受容体のavailabilityの低下と相関。アルコール依存では先行する報告と異なり、ventral striatumでのavailability亢進するが、anterior cingulate(腹側前帯)やinferior temporal cortex内のavailability低下が認められる。
アディポなんたらという物質を発見したという偉業は認めるが、それだけで、動脈硬化性疾患が解決できたら・・・こんなにめでたいことはない。だが、その仕事だけで、メタボリックシンドロームというあやふやな病名を多くの国民や医療・健康関連従事者に強制し、国家的愚かな施策をパイロット研究もせずに勧めているあほな国・・・
メタボリック・シンドロームという疾患概念導入による検診・健康指導は浅はかで早漏と・・・現場の混乱は日々加速的となっているが・・・後期高齢者医療制度と一緒で、記者クラブでしか情報収集しないマスコミの存在と、あほな官僚・大臣のため、一般市民へその混乱ぶりが表にでてこない。おそらく年末には大事件判明するだろうに・・・立案者どもは責任回避のため逃走・・・ネズミのごとき官僚たち
だが、本物のネズミは動物実験で貴重な情報を与え、世のために立っているので、日本の官僚たちはネズミ以下ということになる。実際、データ転送なんて介護保険時に失敗したのに・・・この官僚どもには脳みそがあるのだろうか?
by internalmedicine | 2008-07-30 09:47 | 動脈硬化/循環器