喫煙はウィルス性のPAMP・自然免疫を介してリモデリングを生じる

COPDとウィルス感染の関係は免疫機構が関係する。喫煙曝露が、ウィルス誘起性PAMP(Pathogen-associated molecular pattern)とウィルス誘起性自然免疫が仲介する肺実質や気道の破壊・炎症、アポトーシス促進的に働くことを報告している。


Cigarette smoke selectively enhances viral PAMP– and virus-induced pulmonary innate immune and remodeling responses in mice
Min-Jong Kang et. al.
J. Clin. Invest. doi:10.1172/JCI32709.
ウィルス感染が、非喫煙者より喫煙曝露患者で生じ、COPDにおいては、急性悪化とウィルス感染が関連する。インフルエンザ感染喫煙者の症状悪化・アウトカム悪化に寄与する。
喫煙の生来の免疫の変化が原因でアウトカムが異なるという仮説証明のため、PAMP(pathogen-associated molecular pattern)誘発肺炎症とリモデリングを検討。
喫煙(CS:)はウィルス性PAMP poly(I:C)による肺実質や気道炎症、アポトーシスを誘発した。CSとpoly(I:C)は肺気腫、気道繊維かを促進する。CSと(LR3 リガンドであるpoly(I:C)の組み合わせはtype I IFNやIL-18の誘導と関連し、IL-12/IL23 p40やIFN-γの遅延誘導、二重鎖RNA依存性protein kinase(PKR)、 eukaryotic initiation factor-2α (eIF2α)の活性化を生じた。
さらに特異的蛋白欠損マウスを用いた解析では、TLR3-依存性、非依存性経路で役割を示し、ミトコンドリア抗ウィルスシグナル化蛋白(MAVS:mitochondrial antiviral signaling protein )、 IL-18Rα、 IFN-γ、PKRに依存した経路の役割が明らかとなった。
CSは、インフルエンザの影響を促進するが、他の免疫アゴニストでは促進しない。
CSは選択的に、気道や肺胞の炎症、リモデリングを促進することがわかった。



It takes two to tango: cigarette smoke partners with viruses to promote emphysema
J. Clin. Invest. doi:10.1172/JCI36536.

ウィルスがヒトへ持続性に、繰り返し脅威を与える。ウィルスだけでなく、組織指向性に、病天性にだけでなく、自己免疫性に働く。
JCIのKangらのマウス研究では喫煙がウィルス感染による免疫応答から、肺胞破壊に働くことを示した(上記JCI論文)
この研究はCOPD患者のウィルス・細菌感染による臨床的悪化を示すエビデンスであり、新しいパラダイムであり、遺伝子、biomarker、治療開発に関係し、肺気腫による肺破壊の病態に対して新しい考察がうまれた。





TLR3やRLH系は自然・合成dsRNAでトリガーとなり、Type I IFN 産生とPKR活性化させる。
ウィルスdsRNAのTLR3活性化は Toll/IL-1R homology domain–containing adaptor-inducing IFN-γ (TRIF)を生じ、TNF receptor–associated factor 6 (TRAF6)、 TANK-binding kinase 1/IκB kinase i (TBK1/IKKi)、 receptor-interacting protein 1 (RIP1)を増加させる。TBK1はIFN regulatory factors (IRFs)をリン酸化する。細胞形質dsRNAはRLH系で認識され、caspase recruitment domains (CARDs)を介したMAVSと相互作用する。
MAVSはIKKとTBK1を活動下肢、これがTLR3シグナル化とNF-κB活性化とtype I IFNs (e.g., INF-α and INF-β)の誘導をもたらす。
MAVSは Fas-associated death domain–containing protein (FADD)とRIP1 interactionを導く。
type I IFNsの受容体(IFNR)への結合は 、JAK/STATによるIFN-stimulated gene (ISG) 産物合成を導く。
PKRは直接MAVSとdsRNAのinteractionにより刺激されるが、内因性蛋白PACT/RAXはdsRNAと独立してPKRを活性化する。

報告による図示では、喫煙(CS)は、RNAウィルスと反応して、MAVS-PKRシグナルを促進し、細胞死を誘導し肺の細胞影響を与える。




dsRNAはRNAウィルスが宿主に感染し複製する際に生じるが、合成dsRNAであるpolyinosinic-polycytidylic acid(poly (:C))はウィルスのdsDNAと同様の免疫活性を餅、TLR3がこのdsRNAの認識に関わる。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jsv/54/2/54_145/_article/-char/ja



Pathogen-associated molecular pattern
微生物側の分子(リガンド)の同定が行われ、微生物の表層や内部に存在する限られた種類の物質が見いだされ、Pathogen-associated molecular pattern(PAMP)と名付けられた。一方、免疫細胞の表層に存在してPAMPを認識する受容体はpattern recognition receptor(PRR)と呼ばれた。・・・PRRの構造は大きく異なる。すなわち、免疫細胞表層に存在するPRRは、両方の免疫を持つほ乳類ではToll-like receptor(RLR)ファミリー・・・さらに、微生物がいったん免疫細胞に取り込まれてその内部で認識される場合のあることがわかり、免疫細胞内部の・・・http://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/126/12/126_1207/_article/-char/ja

by internalmedicine | 2008-07-30 14:55 | 呼吸器系  

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