Fibroblast growth factor 23 (FGF-23):血液透析腎不全患者の予後推定に重要な役割

Fibroblast growth factor 23 (FGF-23) は、体内のリン濃度の恒常性のため重要な役割を果たし、尿のリン酸排せつ率増加させ、人での1,25-(OH)2 VitD産生を増加させ、腎疾患の高リン酸血症を防ぐ働きをする。
高リン酸血症と低1,25-(OH)2 Vit D血症は慢性腎臓疾患の死亡率と相関する
FGF-23と予後の関係は不明であった。

FGF 23の役割について、死亡率について対数変換値にて直線性が認められ、独立した重要な働きが明らかとなった。

Fibroblast Growth Factor 23 and Mortality among Patients Undergoing Hemodialysis
N Engl J Med Vol.359:(6) 584-592 Aug. 7, 2008

血液透析開始時の前向きコホート10,044名の血中濃度による死亡率調査
FGF-23値と死亡率を、200名の死亡者と200名生存者比較のnested case-control資料にて検討

血中リン酸濃度最高4分位群(>5.5 mg/dL[1.8 mmol/L)は多変量補正死亡リスクにて、正常値(3.5 ~ 4.5 mg /dL [1.1 ~ 1.4 mmol /L])群比較20%増加(ハザード比, 1.2; 95% 信頼区間 [CI], 1.1 ~ 1.4)

c-末端FGF-23(cFGF-23)値は対照より有意に高い(2260 vs. 1406 参照単位 / ml, P<0.001).

多因子補正解析にてFGF-23値は、連続スケール、4分位比較でも、単調に死亡リスク増加と相関
・オッズ/単位対数変換オッズ比 cFGF-23 values, 1.8; 95% CI, 1.4 ~ 2.4
・4分位では1,2.6 [95% CI, 0.8 ~ 3.3],4.5 [95% CI, 2.2 ~ 9.4],5.7[95% CI, 2.6 ~ 12.6]





Fibroblast growth factor 23 (FGF-23)は、リン酸とビタミンD代謝の重要な調節物質
・稀な低リン酸症候群の病因として、腎臓のリン酸排せつ亢進による、低リン血症、1,25-(OH)2 vit. Dの極度低下、くる病、骨軟化症を生じる。FGF-23欠乏は高リン酸血症、1,25-(OH)2 vit. D増加、異所性石灰化、早期死亡を惹き起こす。

食事性のリン摂取がばらつくに関わらず血中リン酸が維持される仕組みにおいてFGF-23の生理学的重要性に注目があてられている。

http://www.nature.com/ki/journal/v69/n3/images/5000168f1.gif


FGF-23は全身性硬化症の石灰化など他の疾患での役割がさらにあきらかになるだろう・・・

by internalmedicine | 2008-08-07 08:45 | 動脈硬化/循環器

 

<< 左脚ブロックによる同調不全:心... 犬のあくび:ヒトからうつる :... >>