抗生剤副作用による救急外来受診分析:ワーファリン・インスリンなどの半数の頻度
2008年 08月 14日
抗生剤関連の副作用は多くのED受診をもたらし、アレルギー反応が最も多い事象である。不要な抗生剤使用を最小限化することは、即効的な、直接のリスク軽減をもたらすだろう。という陳腐な結論だが・・・著者らは、10万処方外来受診あたり、10.5という救急外来受診比率をかなり多いと考え、ワーファリン(による出血症状など)や、インスリン(による低血糖など)、ジゴキシンなどの副事象の高い医薬品の約半数の受診比率であることに注意を喚起している。
10万外来処方あたりの副作用ED受診
・penicillin類 13.0
・vancomycin,linezolid 24.1
・Moxifloxacin 20.7
・Sulfonamides と trimethoprim: 18.9
・Lincosamides(clindamycinを含む): 18.5
・Cefuroxime: 11.9
・Erythromycin: 10.0
・tetracyclines、 metronidazole、 nitrofuran類は、2.0 ~ 7.6 / 1万処方受診 と少ない。
・・・この結果から見ると非常に少ない頻度に思える。ペニシリン系やセファロスポリン系が処方数多いため、絶対的比率から言えば、penicillin系、 fluoroquinolone系、cephalosporin系は36.9%、 13.5%、12.2%という比率になる。
Emergency Department Visits for Antibiotic-Associated Adverse Events
Clinical Infectious Diseases 1058-4838/2008/4706-00XX DOI: 10.1086/591126(フル・フリー・テキスト)
薬剤関連の副作用イベントは抗生剤使用の評価しがたい副事象であり、このイベントの国家レベルでのインパクトや広がりに関してはまだ十分検討されていない。
目的は、EDの回数や率を推定比較
National Electronic Injury Surveillance System–Cooperative Adverse Drug Event Surveillance project (2004–2006) とNational Ambulatory Medical Care Survey and the National Hospital Ambulatory Medical Care Survey (2004–2005)
抗生剤全身投与が関係する副作用イベントにて、6614名ベースの検討にて、年間142505(95% 信頼区間 [CI], 116,506–168,504 )の米国のED受診があるだろうと推定
最も多いED受診は、アレルギー反応(受診比率比較 78.7% ; 95% CI, 75.3%–82.1%)
半数がペニシリン (36.9% ; 95% CI, 34.7%–39.2%) とセファロスポリン系(12.2%; 95% CI, 10.9%–13.5%).
通常処方される抗生物質のうち、sulfonamides と clindamycinはED受診高率 (18.9 ED 受診/1万外来処方受診[95% CI, 13.1–24.7]、18.5 ED 受診/ 1万外来処方受診[95% CI, 12.1–25.0 ED /1万処方受診])
他の全てのクラスに比べて、sulfonamideは有意に中等度-重症アレルギー反応が多い(4.3% [95% CI, 2.9%–5.8%] vs. 1.9 % [95% CI, 1.5%–2.3%])
sulfonamide類とfluoloquinolone類は有意に神経学的、精神的異常が多い(1.4% [95% CI, 1.0%–1.7%] vs. 0.5% [95% CI, 0.4%–0.6%])
Adverse effectを副事象反応と訳さず、一応、副作用とした。
医薬品副作用まで医療事故やインシデントと猛烈に抗議する患者・家族がいる。
全ての薬剤、どころか、水でさえ、多すぎれば副作用があるのである。
今回の副事象としては、アレルギー反応が78.7%、過剰服用0.9%、誤用0.4%であった。
そういえば、一部の偏執的団体によりミスリードされたエッセンシャルドラッグ、今はどういうリストになってるかと思い確認をした。
beta lactam medicine
・amoxicillin
・amoxicillin+clavulanic acid
・ampicillin
・benzathine benzylpenicillin
・cefazoline(手術使用のみ)
・cefixime
・ocloxacillin
・cloxacillin
・phenoxymethylpenicillin
・procaine benzylpenicillin
代替リスト
・ceftazidme
・ceftriaxone
・imipenem+cilastatin
・azithromycin
・chloramphenicol
・ciprofloxacin
・doxycycline
・erythromycin
・gentamicin
・metronidazole
・nitrofurantoin
・spectinomycin
・sulfamethoxazole+trimethoprim
・trimethoprim
相補リスト
・clindamycin(http://www.who.int/medicines/publications/08_ENGLISH_indexFINAL_EML15.pdf)
・sulfadiazine
by internalmedicine | 2008-08-14 14:40 | 集中・救急医療