前兆を伴う片頭痛:心血管・脳血管リスクである
2008年 08月 15日
Migraine, vascular risk, and cardiovascular events in women: prospective cohort study
BMJ 2008;337:a636
【デザイン】 Prospective cohort study.
【セッティング】 Women’s health study, United States.
【参加者】 27 519 名の心血管疾患無しの女性で、Framinghamリスクスコアや片頭痛状態の情報が充分なもの
【主要アウトカム測定】 主要心血管疾患(non-fatal myocardial infarction, non-fatal ischaemic stroke, death from ischaemic cardiovascular disease)、心筋梗塞、虚血性卒中のイベントまでの時間
【結果】 ベースラインで、3577(13.0%)の女性が活動性片頭痛で、1481(39.6%)はauraを伴う片頭痛
フォローアップ11.9年で、697の心血管疾患イベント
Framinghamリスクスコア(≤1%, 2-4%, 5-9%, and ≥10%)10年冠動脈疾患リスクに基づく層別化を行った
偏頭痛なしにくらべ、年齢補正ハザード比表示で
auraを有する活動性片頭痛では、主要心血管疾患 1.93 (95% 信頼区間 1.45 ~ 2.56)、虚血性卒中 1.80 (1.16 ~ 2.79)、心筋梗塞 1.94 (1.27 ~ 2.95)
Framinghamリスクスコア層別にて、aura有りの片頭痛と主要心血管疾患リスクの相関は最少リスクスコア群にて特に重要であった。
虚血性卒中と心筋梗塞では正反対の相関関係(詳細は下記のごとく、auraありの片頭痛では動脈硬化リスクが高い群では心筋梗塞が、低い群では虚血性卒中において、より有意な相関が認められた)
片頭痛無しの女性に比較して、年齢補正ハザード比で、最少Framinghamリスクスコアにおけるauraありの片頭痛では、虚血性卒中 3.88(1.87 ~ 8.08)で、心筋梗塞 1.29(0.40 ~ 4.21)であった。
最大Framinghamリスクスコア内では、虚血性卒中は 1.00(0.24 ~ 4.14)で、心筋梗塞は 3.34(1.50 ~ 7.46)であった。
auraの無い片頭痛ありの女性は虚血性卒中、心筋梗塞いずれも、どのFraminghamリスクスコアにおいてもリスク増加は認められない。
わたしのところのような施設には前兆(aura)を伴う古典的片頭痛はあんまりこない。ことこまかな前兆症状を聴取し切れてないのかもしれないという反省をしなければならないのかもしれない。
序文を参考にすれば、USでは、女性の約18%、男性の約6%が片頭痛
前兆として、ジグザグな線が見えるとか、flash spotがみえるとかの一過性の神経症状があり、感覚・運動系の症状まである。片頭痛の病態生理は神経系および脳血管系によるものが考えられ、末梢血管は片頭痛にも影響を与える。
もともと前兆を伴う片頭痛は、虚血性卒中、狭心症、心筋梗塞を含む虚血性血管イベントのリスク増加の報告があり、その生物学的メカニズムが虚血へ導く可能性が示唆されている
by internalmedicine | 2008-08-15 09:23 | 動脈硬化/循環器