乳幼児突発性危急事態救急受診:薬物中毒 8%超、感冒OTC 5%弱 :SIDSとして処理?
2008年 08月 25日
乳幼児突発性危急事態(ALTE)によるED受診の頻度は小児で8.4%で薬物スクリーニング試験陽性とされ、OTC感冒薬は4.7%で陽性であった。
以下の研究は、こどもの特定の原因としてしめる明かな生命危機状態で、中毒の役割をシステミックに解明しようとしたもので、EDでALTEって表現初めて受診の小児の特定の割合に、毒素スクリーニング試験で陽性結果は、意図的・非意図的中毒ということになる。
乳幼児突然死症候群の中にも紛れ込んでいるのかもしれない。
前向き研究
2歳未満の小児EDで、ALTEの徴候・症状を有したケースを対象
包括的尿中毒スクリーンを含む標準化された検査を行った。
定義:臨床的に有意でないスクリーン結果(ALTの原因となりえない薬品の同定) or 臨床的に有意なスクリーン結果(こどもが服用している医薬品なら、無呼吸やALTEに一致する医薬品の同定)
研究期間中に、596のALTによるED受診、274(46.0%)が中毒スクリーン施行
274のスクリーンのうち、50が真に陽性(18.2%)で、23が臨床的に有意と判断 (23 / 274 [8.4%])
13の中毒スクリーンにてOTC感冒薬が13/274[4.7%]
良心ともOTC投与していなかった。
Journal Watch日本語版に書いてあった。
ALTEs: New Information About Diagnosis and Follow-Up
ALTE:診断とフォローアップに関する新情報
「乳幼児突発性危急事態(apparent life-threatening event:ALTE)の患者において、毒物スクリーニングにより、市販の感冒薬に含まれる成分が一部から検出された。」
Pediatrics 2008 Aug; 122:e359.
Pediatrics 2008 Jul; 122:125.
スクリーン中毒薬一覧(感冒薬がらみ:◆)
Ephedrine◆
Diphenhydramine
Ephedrine/pseudoephedrine◆
Phenylpropalamine/ephedrine/pseudoephedrine◆
Carbixamine/ephedrine/pseudoephedrine◆
Barbiturate
Epinephrine/diphenhydramine◆
Effexor
Phenytoin
Nicotine
Dihydroergotamine
Dextromethorphan◆
Oxybenzone
Cocaine
Ephedrine/pseudoephedrine/phenylpropalamine/brompheniramine◆
ALTE事例は血液サンプルの保存と中毒スクリーンなど徹底が必要で、聞き取り、特に感冒薬に関わる聞き取りが必要。
感冒薬による小児の死亡が、あまり取り上げられてない。Phenylpropanolamine(PPA)などが一時期問題になったがその後メディアで取り上げられることも少なく、
厚生労働省は、和歌山での毒物混入事件を契機に全国の救命救急センターに“毒劇物解析装置”を導入し、原因物質の早期解明に乗り出した。しかし、現場では何を対象として検査するのかが定まらず、乳として検査が行われなかった。この状況を回避し、救急医療現場での危機分析を浸透させるために、日本中毒学会(分析のあり方検討委員会)では、1)死亡例の多い中毒、2)分析が治療に直結する中毒、3)臨床医からの分析依頼の多い中毒の観点から、15種類の薬毒物(青酸、ヒ素、パラコート、有機リン酸系農薬、カーバメート系農薬、グルホシネート、メタノール、アセトアミノフェン、ベンゾジアゼピン類、メタンフェタミン、三環系抗うつ薬類、サリチル酸、ブロムワリル尿素、テオフィリン:順不同)を分析結果が治療に役立つ中毒原因物質として提唱した(YAKUGAKU ZASSHI Vol. 126 (2006) , No. 12 1271-1277)
↑
これでは、感冒薬を主体とする中毒によるALTEの原因は永遠にわからないだろう・・・意図的なものさえも・・・
日本は、ただでさえOTC感冒薬に甘く、その販売拡大するそうである。医療機関受診を制限させ、経団連主導による医療への不当な介入による被害者が今後も増大するだろう。
しつこいが、ナイシトールの宣伝みるたびに日本の厚生行政の馬鹿さ加減に腹が立ってくる
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国は、ナイシトールなどの麻黄含有製品を放置し続けるつもりか? 2008-07-16
こんなのこどもに飲ませる親が出現しないとはかぎらないし・・・
by internalmedicine | 2008-08-25 14:24 | 環境問題