切迫流産リスク状態妊婦・硫酸マグネシウム:脳性小児麻痺予防効果
2008年 08月 28日
しかし、生存胎児の脳性麻痺を減少させた。
A Randomized, Controlled Trial of Magnesium Sulfate for the Prevention of Cerebral Palsy
N Engl J Med. Vol.359:895-905
多施設、プラセボ対照化、二重盲検トライアルで、ランダムに24-31週の出産切迫リスク女性に硫酸マグネシウムを6gボーラス静注投与し、2g/時間で定常的に投与とプラセボ投与する。
主要アウトカムは、補正年齢1歳での生下時・胎児死亡、補正年齢2歳での中等症・重症脳性麻痺
フォローアップ達成95.6%
主要アウトカムは有意差無し (11.3% vs 11.7% 相対リスク, 0.97; 95%信頼区間 [CI], 0.77 ~ 1.23)
しかし、事前特異化二次解析にて、中等度・重度脳性麻痺がマグネシウム硫酸群で頻度減少
(1.9% vs. 3.5%; 相対リスク, 0.55; 95% CI, 0.32 to 0.95)
死亡リスクは2群で差なし (9.5% vs. 8.5%; 相対リスク, 1.12; 95% CI, 0.85 ~ 1.47)
母体には生命危機的なイベント無し
脳性麻痺は活動制限を生じる運動・姿勢の異常コントロールと特徴づけられる。進展するダメージではなく、胎児及び胎児脳の成長時の機能障害であり、慢性の小児disabilityの主な原因となり、医学・情緒・経済的な後遺症を生じる。
早産は脳性麻痺のリスク要因で、リスクの程度は誕生時gestational ageと逆相関する。
ここ20-30年、超早産胎児生存率は改善しているが、生存者での脳性麻痺の程度に関しては減少と不変、増加とばらつきが認められる。脳性麻痺の約3分の1が早産と関連。
母体への硫酸マグネシウム投与が脳性麻痺減少となる可能性が症例対照研究で提示され、オッズ比で0.14(95%CI 0.05-0.51)で、マグネシウムのvascular instability減少、低酸素ダメージの予防、サイトカインと興奮性アミノ酸ダメージの緩和となり、早産胎児脳の障害を軽減することが考えられた。
出産というのは絶対安全で、母体や胎児に異常がある方がおかしいという発想自体が間違いなのである。もともとリスクがあることを民衆が認識していたから、様々な安全祈願の風習があるのだ。
結果的に温泉地では開かなかったそうだ(医師不足を温泉場で考えよう・・・升添 ← 馬鹿?)が、"産科・救急医に直接手当 厚労省検討会中間報告”がひらかれたとのこと
医師不足対策は政府が7月にまとめた社会保障に関する「5つの安心プラン」の目玉だ。地方病院や救命救急、産科などで医師が不足しているとの前提にたち、「安心と希望の医療確保ビジョン具体化に関する検討会」(座長・高久史麿自治医科大学学長)が舛添要一厚労相の参加のもと7回16時間にわたって議論を重ねてきた。
現実を直視することのない、上から目線の厚生労働大臣が、とんちんかんな施策を検討しているようである。医師自身の給与を上げても、そもそも病院側がその分差し引くだろうし、根本原因は給与の問題ではないということが全くわかってない!
高久先生・・・自治医大卒業生は都庁・府庁・県庁にばかりつとめているようですが、本来の目的である僻地・離島への就職を推進してください。地方の役人を増やす仕事ばかりしているような大学ですが・・・
by internalmedicine | 2008-08-28 09:03 | 医療一般