日本の女性のBMIコホート

若年成人では日本女性においてはBMI低下傾向にあるようだ・・・

私は、この報告を見て、BMIってのがほんとに肥満・やせを表すのか疑問をもった。BMIは、年齢毎・世代毎に正常値があることを念頭に置くべきだろう。


どの世代も、学童期BMI高値、若年成人時BMI低値のパターンは一緒だと思うが、早熟化?が一定の傾向にあるように思う。

Do overweight children necessarily make overweight adults? Repeated cross sectional annual nationwide survey of Japanese girls and women over nearly six decades
Ikuko Funatogawa, Takashi Funatogawa, Eiji Yano
BMJ 2008;337:a802
【目的】 小児から青年期、成人までの成長カーブ比較で、日本人女性の生下コホート( 1930 ~ 1999)

【デザイン】 後顧的反復横断的国内調査(national nutrition survey, Japan) (1948 ~ 2005)

【セッティング】 Japan.

【参加者】 76 635 女性(1-25歳)

【主要アウトカム測定】 Body mass index.

【結果】 一般的にBMIは就学前(2-5歳)では減少、児童期(6-12歳)、青年期(13-18歳)で増加、若年成人(19-25歳)で減少
しかし、カーブはbirth cohortにより異なる

最近のコホートではより小児で過体重気味で、若年女性でよりやせ気味となっている。

若年児童でのBMIの増加は以前の年代のコホートにくらべ最近では大きくなっているのが注目される。
しかし、青年期のBMIの増加は小さく、大人になると減少に転じる
前の世代のコホートより最近のコホートのピーク値は少ない。

若年成人女性のBMI減少は全てのbirth cohortと同様である。


【結論】 小児期のbirth cohortの過体重は必ずしも若年成人の過体重へと継続性があるわけではない。肥満・やせの研究では、固定年齢に対するBMI永年的傾向だけでなく、birth cohortの広い年齢層での成長カーブを考慮すべきである。birth cohortによる成長カーブは60年に渡り年次反復横断調査としてなされている。








肥満の健康施策はbirth cohortの影響を考慮すべきで、1930年代と1990年代では後年ほど成長に従いやせが認められる結果であった。エディトリアルでは、小児のBMIは必ずしも成人時の肥満を意味しないと述べている。モニタリングは必要という条件付けであったが・・・





小児メタボリックシンドロームの話を聞くことがあるが、パーセンタイル表示である。これがどの時代のbirth cohortなのかを考慮する必要があると思う。世代毎にそのパターンが違うのだから、前提が問題だろう。小児メタボリックシンドロームの講演を聴いたことがあるがあまりの独善的内容で辟易した事がある。・・・成人でもその概念があやふやなのに、それを、小児期に拡大指定校というのだからもともと無理があるのだ。

保険医指導の半公的講演会で、“今のこどもは昔より太っている故にメタボリック対策が小児期から必要だ”というあんまり脳みそを使ってない、品のない講演を昨年だったか聞いて時間の無駄と感じたのを思い出した。

by internalmedicine | 2008-08-29 09:37 | 糖尿病・肥満  

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