耳あか診療ガイドライン(AAO-HNSF);耳あかは定期的にほじくるな!

American Academy of Otolaryngologyの耳垢塞栓ガイドライン
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Evaluation and management of obstructing cerumen.
http://www.guideline.gov/summary/summary.aspx?ss=15&doc_id=10861&nbr=5674


1. 病歴を含む主観的評価と徴候:慢性感染症、自己管理、外傷、聴覚障害、家族歴
2. 客観的評価・理学所見:聴伝導と頭、眼、耳、鼻、のど(HEENT)
3. 理学所見
4. オージオメトリック評価:構造・神経学的異常確定のため (耳鳴りも含む)


過剰な耳垢による耳のつまりで、米国では1200万人が医療機関を受診し、800件の耳垢除去がなされている。有害性 vs 有益性の理解が求められるということ

耳垢はホントは"wax"でなく、分泌物の水溶性混合物+毛+皮膚の残骸で、耳を守る役割をしている。塞栓がなければルーチンに耳垢は除去すべきでない。
耳垢塞栓は耳垢がたまることで、疼痛・充満巻、痛み、におい、耳なり、耳漏、咳、聴覚低下などの症状を来たし、こどもでは10人に一人、大人では20人に一人、老人では3名に一人症状を訴える。

不幸なことに、多くの人々は耳垢は除去すべきと考えているが、結果さらに、耳垢塞栓や耳道の合併症を生じる可能性があるとされる。通常耳垢がたまれば、自動的にあごの動き(たとえば、噛む行為)で動き、汚れ、異物、小物質とともに排泄される。
患者は多種の医療機関受診する事を認識した上での、耳垢塞栓の診断・管理する臨床医全てに対するガイドラインであるとのこと。


治療オプション:耳垢の量・局在・質・堅さ、個々の健康状態や病歴・理学所見で個別
1. Eardrops/cerumenolytics (pharmacological and nonpharmacological)
2. Ear syringe/irrigation
3. Curettage
4. Suction
5. Combination of above treatment options
(Crummer & Hassan, 2004; Dunphy, 2004; Aung & Mulley, 2002; Deguine & Pulec, 2002; Marcinuk & Roland, 2002; Grossan, 2000; Grossan, 1998)



自宅での耳垢そうじのリスク(自宅での方法として、綿を先端に巻いたぬぐい棒、ヘアピンのようなもに、マッチ、ペンシル)
1. 鼓膜穿孔・外耳炎を生じる耳道の皮膚刺激
2. 過剰な耳掃除のため耳道の奥に押し込み、自然の防御機構を破壊する
(Baer, 2005; Nussinovitch et al., 2004; Deguine & Pulec, 2002; Grossan, 2000) Evidence Good, Recommendation A

by internalmedicine | 2008-08-29 14:52 | 医療一般  

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