胃がんのためのH. pylori除菌推奨というが、一般的予防効果の論文ではなかったはず

非常に気になる記事になっている。

大本の論文はあくまで、異時性胃がんの二次予防の話、記事になると一次予防に化けてる?・・・新聞記者の頭の悪さなのか?それとも、情報ソース側に問題があるのか?

日本ヘリコバクター学会は、ヘリコパクター・ピロリ除菌による胃がん発症抑制効果が世界で初めて無作為化比較試験で証明されたことを受け、10月にも行う治療ガイドラインの改定で、同菌の感染者全員に除菌を推奨するかどうかの検討に入った(日刊薬業 平成20年8月25日から)


前出の論文は
Effect of eradication of Helicobacter pylori on incidence of metachronous gastric carcinoma after endoscopic resection of early gastric cancer: an open-label, randomised controlled trial
Kazutoshi Fukase, Mototsugu Kato, Shogo Kikuchi, Kazuhiko Inoue, Naomi Uemura, Shiro Okamoto, Shuichi Terao, Kenji Amagai, Shunji Hayashi, Masahiro Asaka, for the Japan Gast Study Group
The Lancet - Vol. 372, Issue 9636, 2 August 2008, Pages 392-397
(UMIN Clinical Trials Registry, number UMIN000001169.)

あくまで、
治験対象者は、早期胃がんおよび新規発症で内視鏡治療プラン中、あるいは内視鏡治療後フォローアップ患者
であり、このことは早期胃癌内視鏡切除後の予防的H pylori除菌は異時性胃癌発生に関して予防効果・・・Japan Gast Study Group  2008-08-06 08:53でふれている。



ピロリ除菌で胃がん3分の1 北大教授ら研究 asahi.com 2008年8月1日
胃の粘膜にいる細菌ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)を薬で除菌すると、胃がん発生が3分の1になるとの研究結果を浅香正博・北海道大教授(消化器内科)らがまとめた。2日付の英医学誌ランセットで発表する。

 胃がん予防目的の除菌は現在、公的医療保険の適用外。適用に向けた議論が活発化しそうだ。

 研究は国内51病院で実施。早期胃がん患者505人の協力を得た。内視鏡で治療した後、半分の患者に除菌の薬を飲んでもらった。半分は除菌しなかった。治療したがん以外の胃がん(2次胃がん)ができるか調べた。

 3年間に2次胃がんができたのは、除菌した群で9人、除菌しない群で24人。詳しく計算すると胃がんリスクは、除菌しない場合を1とすると、除菌した場合は0.34だった。効果が明らかだったため、除菌しなかった群も後ほど除菌した。

 これまで、除菌で「前がん状態」が改善したなどの研究結果はあったが、除菌するか否かの割り当てをくじ引きで決める「無作為化比較研究」で除菌による胃がん予防効果を示したのは世界初。初発の胃がん減少も期待できる。

 国内の胃がん新規患者は年約11万人、死亡は約5万人。富永祐民・愛知県がんセンター名誉総長(疫学)によると「胃がんの8割以上はピロリ菌感染が原因と考えられる」。感染率は若い世代は低いが、50歳以上は7~8割。団塊世代ががんを発症しやすい年代に近づき、患者は増える可能性が高い。

 浅香教授は「除菌で胃がん発生を大幅に減らせる」と、現在は、胃潰瘍(かいよう)か十二指腸潰瘍の患者に限られている除菌の保険適用を、ピロリ菌感染者全体に広げ、胃がん予防に役立てるべきだとしている。

 保険適用外だと薬代と検査代で1万数千~2万円ほど。日本ヘリコバクター学会も今回の研究結果をもとに今秋、指針を改訂し、除菌を勧める予定だ。(編集委員・浅井文和)






H pylori除菌:3剤同時治療からSequentialへ? [2008-05-20 09:51 by internalmedicine]

by internalmedicine | 2008-09-05 08:19 | 消化器  

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