小児の解熱:初日はイブプロフェン主体、それ以上はイブプロフェン+アセトアミノフェン併用が良い

パラセタモール(アセトアミノフェン)+イブプロフェンがそれぞれの単独より   解熱時間の増加、不快感を伴う熱の改善までの時間などへの在宅での管理に有効かという、薬剤原悪説、解熱原悪説の先生方が発狂しそうな報告?

熱を下げる目的なら、アセトアミノフェンにこだわらずイブプロフェンから・・・という話

Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children (PITCH): randomised controlled trial
Published 2 September 2008, doi:10.1136/bmj.a1302
Cite this as: BMJ 2008;337:a1302


【デザイン】 個別的ランダム化、盲検、3アームトライアル

【セッティング】 Primary care and households in England.

【参加者】 Children aged between 6 months and 6 years with axillary temperatures of at least 37.8°C and up to 41.0°C.

【介入】 Advice on physical measures to reduce temperature and the provision of, and advice to give, paracetamol plus ibuprofen, paracetamol alone, or ibuprofen alone.

【主要アウトカム測定】
・主要アウトカム:初回薬剤投与後4時間以内の発熱なし (<37.2°C)・48時間でのdiscomfort scaleにおける正常状態にあるという報告比率
・二次アウトカム:正常体温に戻った時間、24時間以上発熱なし、熱関連症候、副作用

【結果】 ITTベース解析
プラセタモール+イブプロフェンは当初4時間の発熱時間に関してはパラセタモールより優れ(adjusted difference 55 minutes, 95% confidence interval 33 to 77; P<0.001) 、イブプロフェン単独と同様(16 minutes, –7 to 39; P=0.2)

24時間内における解熱時間において、パラセタモール+イブプロフェンはパラセタモールより優れ (4.4 hours, 2.4 to 6.3; P<0.001) 、イブプロフェンより優れている(2.5 hours, 0.6 to 4.4; P=0.008)

併用治療は解熱到達時間はパラセタモールに比べ23分(2-45分; P=0.025)少なく、イブプロフェン単独との比較では早くない (–3 分, 18 to –24; P=0.8)

これらのアウトカムに関するパワーはすくなく、不快感や他の症状に対するベネフィットは求められない。副事象の差はない。


【結論】 子供に平熱時間を最大にしようと試みるなら、親、看護師、薬剤師、医師は、イブプロフェンを最初にすべきで、24時間こえたらイブプロフェン+パラセタモール併用をベネフィットとリスクを考慮して考える。

Trial registration Current Controlled Trials ISRCTN26362730 [controlled-trials.com] .



解熱主体型治療vs解熱剤禁止治療で、子供のdiscomfort指標を含めたQuality studyと有病期間・合併症などを含めたトータルなアウトカムを検討した報告なんてないはず・・・だが、原理主義者たちは、こどものdiscomfortを無視して・・・(反発が大きいかもしれないが・・・)


この論文の冒頭を抜き書きしてみる・・・
イギリスでは、発熱は子供の場合、就学前では、約70%が年ごとに出現する。子どもにとっては深刻で、親には不安を、そして医療費増加につながる。就学前の40%が年ごとに医療機関受診する。熱は、多くの人にとって、利益をもたらす画期的副産物であり、感染に対するホストの反応であり、治療すべきでないという考え(Management of childhood fever. Lancet 1991;338:1049-50.)がある一方、逆に解熱剤使用は広がっている。
熱に対する治療の理由は紛争中であり、子供の不快さを軽減し、熱をコントロールし、熱性痙攣をふせぐことの意義について議論を含め、必ずしもエビデンスに基づくものではない。



所詮、発熱ガイドラインも、エビデンスに基づいたものじゃないのさ
Clinical and consumer guidelines related to the management of childhood fever
Journal of Research in Nursing, Vol. 11, No. 3, 263-278 (2006)

by internalmedicine | 2008-09-05 11:09 | 医療一般  

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