新世代1型糖尿病持続血糖モニタリングのランダムトライアル:JDRF人工膵臓プロジェクト

インスリンポンプ、multiple-injectionレジメン、インスリンアナログの導入などの使用増加に関わらず、DCCT推奨の目標糖化ヘモグロビン値に到達していない。
自己血糖モニタリングは目標糖化ヘモグロビン値到達のため重要だが、食後・夜間の血糖測定する患者は少ない。コントロール良好の1型糖尿病患者でも食後高血糖、無症状の夜間低血糖がよく見られる。低血糖の恐怖、低血糖による自律神経不全などのおそれのため強化インスリン導入に躊躇する。持続血糖モニタリングデバイスが利用されるようになり、境目の血糖測定が可能となっている。しかし、一世代眼の持続血糖デバイスは短期的な後顧的解析のみであり、臨床使用にも困難なものであった。

新しい持続血糖モニタリング・リアルタイムデバイスが正確で機能的にで、たとえば低血糖時の音声アラーム付きなどの進歩を遂げ、トレランスも良好となった。

今回、1型糖尿病に関するランダム化多施設試験の結果がNEJM速報で流された。
JDRF Artificial Pancreas Project NCT00406133


Continuous Glucose Monitoring and Intensive Treatment of Type 1 Diabetes
The Juvenile Diabetes Research Foundation Continuous Glucose Monitoring Study Group
www.nejm.org September 8, 2008 (10.1056/NEJMoa0805017)

多施設臨床トライアルで、ランダムに、強化治療を受けていた1型糖尿病232名の成人・小児をわりつけ・・・持続血糖モニタリング、血糖計による自宅モニタに割り付け
年齢、糖化ヘモグロビン値7-10%に応じて3群に層別化し、プライマリアウトカムを糖化ヘモグロビン値として評価

糖化ヘモグロビンの変化は様々で、年齢群に応じて著明に異なる(P=0.003)
25歳以上の場合、持続モニタリング群が良好 (変化の平均差, –0.53%; 95%信頼区間 [CI], –0.71 ~ –0.35; P<0.001)
15-24歳 (変化の平均差, 0.08; 95% CI, –0.17 ~ 0.33; P=0.52) 、8-14歳 (変化の平均差, –0.13; 95% CI, –0.38 ~ 0.11; P=0.29). での群間差は有意でない
セカンダリ糖化ヘモグロビンアウトカムは持続群で、対象群より良好なのは最年長、最若年群で、15-24歳では差がない。
25歳以上の83%が持続血糖モニタリング使用は週6回平均で、15-24歳では30%、8-14歳では50%。この群では、重度の低血糖頻度が低く、差がなかった。




この研究で使われているデバイス:3種類
DexCom Seven (DexCom)



MiniMed Paradigm Real-Time Insulin Pump and Continuous Glucose Monitoring System (Medtronic)
http://www.minimed.com/products/insulinpumps/demonstration.html


FreeStyle Navigator (Abbott Diabetes Care)
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by internalmedicine | 2008-09-09 14:40 | 糖尿病・肥満  

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