UKPDSトライアル後の経過:血圧コントロールは迅速に効果消失、メトフォルミン群が特に効果維持

大規模トライアル後のコホートってのも含蓄ある報告になるものだと・・・関心

糖尿病というのは一度ブドウ糖毒性を解除・軽減すると比較的良好な影響が残る。だが、血圧ってのは持続的に下げないとすぐリスクが戻ってしまうやっかいなもの・・・って私なりに解釈したが・・・どうだろう・・・専門家たちの解釈は別になるかもしれない

糖尿病の講演では必ずふれられるUKPDS(UK Prospective Diabetes Study (UKPDS). VIII. Study design, progress and performance. Diabetologia 1991;34:877-890.)は、他施設前向きランダム化、介入トライアルで2型糖尿病の新規診断5100名の血糖コントロールで合併症・死亡率減少予防効果があるかどうかをみたもので、メインランダム化は食餌療法、インスリン/SU剤にて血糖を6mmol/lいかに下げることで、7.0mmol/lと8.9mmolの積極治療群と消極治療群を比較したもの、その中に、Hypertension in Diabetes Study を含み、150/85 mmHgと200/105 mmHgという対照比較が入り込んでいる。


UKPDS 33は"強化治療による微小血管病変リスク減少”と大血管疾患への悲観的な結果の2型糖尿病ランダムトライアルで、2型糖尿病の話では必ず出てくる報告


その後の報告ってことになるのだろう・・・いわゆる続報

2型糖尿病きびしい血圧コントロー長期フォローアップの結果は、合併症リスクを減少させたが、良好な血圧コントロールは継続しなければ得られない。
Long-Term Follow-up after Tight Control of Blood Pressure in Type 2 Diabetes
N Engl J Med. Sep. 10,2008 (10.1056/NEJMoa0806359)


タイトな血圧コントロールレジメンはACE阻害剤、β遮断剤によるタイトコントロールと、それより劣る対照群ということで、比較して24%の糖尿病関連エンドポイントのリスク減少、糖尿病関連死亡32%、卒中44%、微小血管37%減少

血圧の両群間の違いが消失
トライアル中見られた糖尿病関連エンドポイント、糖尿病関連し、微小血管疾患、卒中の有意な相対的リスク減少はトライアル後持続せず
心筋梗塞・全原因死亡のトライアル中・トライアル後のリスク減少は認められなかったが、血圧コントロールによ関連した末梢血管疾患のリスク減少は有意であった (P=0.02)



上図はいろんなところで、引用されることだろう




2型糖尿病intensive glucose control10年フォローアップにて、微小血管リスク減少、心筋梗塞・全原因死亡リスクがトライアル後フォローアップで10年見られた。
10-Year Follow-up of Intensive Glucose Control in Type 2 Diabetes
N Engl J Med Sep. 10, 2008 (10.1056/NEJMoa0806470)
糖化ヘモグロビンの群差は1年後消失

SU・インスリン群は、いずれのリスク減少も持続
10年後糖尿病関連エンドポイント(9%, P=0.04)
微小血管疾患(24%, P=0.001)
心筋梗塞 (15%, P=0.01)
全原因死亡(13%, P=0.007)

メトフォルミン群では特にリスク減少持続が、いずれの糖尿病エンドポイント (21%, P=0.01)にも、心筋梗塞 (33%, P=0.005)・全原因死亡(27%, P=0.002)にも見られた。


by internalmedicine | 2008-09-11 11:56 | 糖尿病・肥満  

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