レジデントのプロフェッショナルとは?

一般には医師に対してその"プロフェッショナリズム”を期待されている。だが、その評価には関心が少ない。職業人として育つ・育てる場合の指標の確立が必要という次第である。

Reedらは、職場をともにする側から見た、"プロフェッショナル・レジデントを選別同定する試み"を行った。

多項目評価を開発し、同僚・先輩レジデント、指導側、医学生、非医師専門職が評価するもので、著者らは、特異的行動として、職場をともにする側から見たプロフェッショナリズムを有するレジデントは、conscientiousness(誠実さ)、医学知識の試験点数が高いこと、臨床的技量能力を有することがその要素であると報告。
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Behaviors of Highly Professional Resident Physicians
JAMA. 2008;300(11):1326-1333.



”Highly professional residents”(プロフェッショナルなレジデント)の定義は、5ポイントスケール(1,改善必要; 5,優秀)に基づく80パーセンタイル以上高位のもので、”プロフェッショナルさ”を、同僚、シニアレジデント、指導者、医学生、非医師職による多重観察にて評価したもの


In-Training Examination (ITE) scores、Mini-Clinical Evaluation Exercise (mini-CEX) scores、conscientious behaviors (percentage of completed evaluations and conference attendance)の80パーセンタイル最低位、警告や謹慎を受けたレジデントとを比較


プロフェッショナル・レジデントとされる場合は
総プロフェッショナリズムスコアは4.39(平均4分位[IQR] 4.32-4.44) vs 4.07(IQR, 3.91-4.17)

ITEでは、65.5; IQR, 60.5-73.0 vs 63.0; IQR, 59.0-67.0; P = .03

mini-CEX (3.95; IQR, 3.63-4.20 vs 3.69; IQR, 3.36-3.90; P = .002)

要求評価完遂パーセンテージは高頻度(95.6%; IQR, 88.1%-99.0% vs 86.1%; IQR, 70.6%-95.0%; P < .001)


多変量解析にて、プロフェッショナリズム・スコア上位20%のレジデントは、ITEスコアodds ratio [OR] per 1-point increase, 1.07; 95% 信頼区間 [CI], 1.01-1.14; P = .046)、mini-CEXスコア (OR, 4.64; 95% CI, 1.23-17.48; P = .02)、評価完遂 (OR, 1.07; 95% CI, 1.01-1.13; P = .02)の項目は独立して相関した。

8名の警告・謹慎を受けたレジデントの6名は20%の底辺評価スコア群であった。




調査の目的はレジデント教育が目的で職業人として立派になったかどうかという評価をしているので仕方ないのかもしれないが、レジデントとしての「「プロフェッショナリズム」なのか、独り立ちの医師という意味での「プロフェッショナリズム」なのかの混同が存在するような気がする。
レジデントとしての「プロフェッショナリズム」、指導医としての「プロフェッショナリズム」、GPとしての「プロフェッショナリズム」・・・いろいろ立場で違うと思うのだが・



プロフェッショナリズム(http://www.merriam-webster.com/dictionary/professionalism
1 : the conduct, aims, or qualities that characterize or mark a profession or a professional person
2 : the following of a profession (as athletics) for gain or livelihood

・・・1)だとすれば「専門的職業、専門的職業人に特徴づけられる、あるいは、特徴のふるまい、目的、特性」


マスコミが医師に強要する“医者らしさ”は、医者も人間であることを無視した、24時間の患者への奉公である。マンガや水戸黄門の世界も区別できない連中が“ブラックジャック”や“赤ひげ”などという妄想も存在する。そういう現実離れした虚構から比べれば、同じ職場の人間から見た“プロフェッショナリズム”がまともなのかもしれないが・・・

私は、NHKの“プロフェッショナル 仕事の流儀”って番組が大嫌いである、番組内容より、あのキャスターが嫌いなのだが・・・“キャスターは、新進気鋭の脳科学者、茂木健一郎さん。脳と心の謎に挑んできた脳科学のプロフェッショナルが、独自の視点で、異分野のプロに切り込みます。”・・・”脳科学者”のプロならそもそもテレビに出ずっぱりになれるはずもなく・・・



日本では、"プロ”と訳され、略されている”professionalism”・・・あらため考えるチャンスなのかもしれない・・・このJAMA論文

by internalmedicine | 2008-09-17 10:49 | 医療一般  

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