母親へのインフルエンザワクチンの有効性:Mother's Gift Project
2008年 09月 18日
2歳までの小児にワクチンによる免疫形成能力低下している。実際、6ヶ月未満では推奨していない。ただ、1歳まではインフルエンザに対する抗ウィルス薬投与も認可されていないため新生児乳児のインフルエンザ対策が手薄になっていることは確かである。
Mother's Gift projectと呼ばれる、母体へのワクチン接種による、母体・乳幼児への安全性と免疫獲得性を評価し、対照群に肺炎球菌ワクチンを使うという少々変形したトライアル。
乳幼児に対してワクチンは用いない。
Mother's Gift Project:http://clinicaltrials.gov/show/NCT00142389
“不活化インフルエンザワクチンは6ヶ月児までのインフルエンザ疾患を63%減少させ、有熱性呼吸器症状を母体・小児ともに約3分の1減らすということで、母体・子供ともに有効”という結論
Effectiveness of Maternal Influenza Immunization in Mothers and Infants
www.nejm.org September 17, 2008 (10.1056/NEJMoa0708630)
【方法】ランダム化研究で、340名の不活化インフルエンザワクチン、23の肺炎球菌ワクチン(対照群)を割り付け
週毎に出産後24週までフォロー
熱性呼吸器症状を評価し、子どもに関しては、インフルエンザ抗原チェック
疾患頻度、頻度rate ratio、ワクチン有効性を評価
【結果】母体と子供を2004年8月から2005年12月まで観察
インフルエンザワクチン接種母体から出生児は、対照群より検査確認インフルエンザ減少 (6 例 vs 16例 )で、ワクチン有効性は63%(95%信頼区間[CI], 5-85)
インフルエンザワクチン群では110名の子供で、呼吸器症状発生は、対象群で153名でワクチン有効性29%(95%CI, 7-46)
母親の間で、呼吸器症状発生減少率は、36%(95% CI, 4-57)
反ワクチン運動家ならどう考えるか・・・と、仮想的に反ワクチン運動家として妄想・・・
まず、やはり、ARR、NNTによる評価の矮小化をねらうことと、信頼区間があまりに広いことが攻撃視点となるだろう。次に臨床的アウトカムが、プライマリアウトカム、セカンダリアウトカムと提示されず行われている研究手法がつたないと批判すること。そして定番のワクチンの副作用を絶対否定不能ということ論理展開・・・かな?
この図を使って、発熱といえど38度以上に関する発熱に限定すれば・・・わずか13.7%減少にすぎないとか・・・有効性を矮小化する論調にする
by internalmedicine | 2008-09-18 09:07 | インフルエンザ