喘息: アルギニン・メタボローム

Alterations of the Arginine Metabolome in Asthma
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 178. pp. 673-681, (2008)

FENOと異なり、Arg bioavailabilityは炎症の有望な測定項目ではないが重症喘息の気流異常と強く関連する・・・という結論

喘息患者はArg bioavailabilityが大きいが、Arg catabolismも増加する。
FENO値・血中arginase活性の増加と関連するエビデンスとなり得る。

しかし、Arg bioavailabilityはFENOとの正相関は健康対象者のみであり、重症・非重症喘息ではFENO・他の炎症性マーカーと相関していない。
炎症性パラメーター自体は気道閉塞に関連し、非重症喘息の反応性と関連する
逆に、Arg bioavailabilityは重症喘息の気道閉塞と関連するが、非重症では関連しない
モデリングはArg bioavailabilityの測定は重症喘息の気道閉塞のみを予測するに過ぎない




メタボローム、メタボロミクス・・・
ゲノム(genome)が細胞内の全遺伝子(gene+ome)を指すように、メタボローム(metabolome)は細胞内の酵素蛋白質が産生する全代謝物質(metabolite+ome)を指します。ゲノミクス(genomics)がゲノムの解析を指すように、メタボロミクス (metabolomics)はメタボロームの網羅的な解析を指します。細胞内には実に多種多様な代謝物質が存在します。その解析を一斉に効率よく行う手法には、昨年のノーベル賞受賞で注目された質量分析やNMRなどの機器分析手法があります。現在、枯草菌などの微生物やシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)などのモデル植物での研究が進んでいます。網羅的な代謝産物の解析から、生きたシステムとして生体を理解するための有用な情報を得ることができます。今後の発展が注目されている分野です。(http://jdream.jst.go.jp/html/jdreampetit/theme0041.html)

by internalmedicine | 2008-10-02 17:18 | 呼吸器系  

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