UPLIFTから学んだこと:スピリーバは疾患予後を改善するために用いるのではなく症状改善として用いるべき


UPLIFT:スピリーバ  2008年 10月 06日でふれたが、JAMAメタアナリシスの有害性に注目が集まってしまって、本来のUPLIFT研究の目的を忘れてしまいそうだが・・・実は以下の結果以上でも以下でもない。

ランダム化トライアルにて、COPD患者にて、1日1回tiotropiumとプラセボの比較

over timeの肺機能悪化改善に対してベネフィットがなかった。
しかし、セカンダリ・エンドポイントのいくつかにベネフィットが示された。


プライマリエンドポイントを主眼とするのが本来の臨床トライアル・・・故に、プライマリエンドポイントの有効性を明確化できなかったことから、このトライアルは、薬剤会社の説明やお偉い先生方の説明に関わらず、有効性が証明できなかったといえる。


A 4-Year Trial of Tiotropium in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
N Engl J Med. Vol.359:1543-1554

Editorialがおもしろかったので、一部訳
COPD and Declining FEV1 — Time to Divide and Conquer?
N Engl J Med. Vol. 359:(8) 1616-1618 Oct. 9, 2008
Fletcherらの研究による喫煙サブグループの強制呼気流量の減衰率促進する。FEV1で示される変化である。禁煙の必要性と、FEV1減衰に対する薬剤などの介入について必要と思われるようになった。d(FEV1)/dtという要因が疾患治療に対して考慮されるようになったのである。




短期作動抗コリン剤、吸入ステロイド、アンチオキシダントなどが検討されたが、FEV1減衰への効果は示されてない。

後顧的なLung Health Studyの結果は、5年フォローアップ94%で、禁煙者選別という不正確なものであった。UPLIFTでは、tiotropium治療の死亡率低下が統計的じれったいほどの有意差しかなかった。昨年、TORCHトライアルは死亡率減少を見いだしたが、通常の統計学的クライテリアを見いだすものではなかった。

結局、今日まで死亡率減少減少をきたすものとして確立したのは、禁煙と、一部選別された患者においては酸素療法とlung-volume reductionのみ


疾患modificationのゴールとしてtiotropiumを処方すべきでなく、症状改善のためとして使用すべきという結論?

COPDというのをsingularなものとするのはmisnomerであろう。COPDという病態は症候群として共通のリスクにより生じるが、メカニズムや治療反応性は様々であろう。

以下の概念が提唱されている。

by internalmedicine | 2008-10-09 10:16 | 医療一般  

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