小児への鼓膜切開チューブ過剰使用:臨床推奨ほとんど守られず
2008年 10月 17日
米国でもガイドラインなどというのを絶対的とは考えてない。たとえば、小児の滲出性中耳炎へのtympanostomy tube(中耳腔換気用チューブ)の適応に関して、推奨遵守性に問題があった。
すなわち、、tympanostomy tubeを過剰に使用しすぎているというもの
Overuse of tympanostomy tubes in New York metropolitan area: evidence from five hospital cohort
BMJ 2008;337:a1607
病院、プライマリケア医、耳鼻咽喉科で鼓膜切開チューブをうけて患者1046名のうち682名を調査
平均年齢3.8歳で、手術前の1年で急性中耳炎は4回未満
滲出液を伴う中耳炎のこどもは30日連続未満で
推奨一致率は非常に少ない
鼓膜切開例において、この研究のためのクライテリアと比較したときには30.3%(n=207)の一致率、ガイドライン(1994 guideline from the American Academy of Pediatrics, American Academy of Family Medicine, and American Academy of Otolaryngology—Head and Neck Surgery)とは7.5%(n=13)の一致
鼓膜切開チューブ手術既往のある場合、不随処置がある場合、"リスクのある状態”では一致性が低い
元としたガイドライン・・・
American Academy of Family Physicians, American Academy of Otolaryngology-Head and Neck Surgery and American Academy of Pediatrics Subcommittee on Otitis Media With Effusion
PEDIATRICS Vol. 113 No. 5 May 2004, pp. 1412-1429
臨床的意義は不明だが、OMEへの鼓膜切開チューブ挿入にて3歳児での聴力に基づく発達、言語・学習への臨床的意義付けは不明。軽度効果が両側OMEの時あったという報告もあるが、差異無しという報告がある。ただ、持続性OMEは身体・行動症状、過活動、注意力低下、行動異常、QOLなどに影響を与えるという報告がある。早期治療で行動的ベネフィットを示すことはないだろう。慢性OMEは有意に前庭機能低下と関連し、運動発達に負の影響をもたらすなど、耳痛、睡眠障害、AOMの再発など。
結局、チューブはAOMの絶対的再発頻度を1回まで減少させ、その相対リスク減少は56%である
by internalmedicine | 2008-10-17 08:47 | 医療一般