DIRECT研究:糖尿病性網膜症(1型・2型)とARB:発症促進の可能性も
2008年 10月 20日
Lancet誌において、DIRECT(DIabetic REtinopathy Candesartan Trials)研究から2つの重要な報告がなされている。
全般的にはcandesartanは網膜症発症抑制効果があるようだが、プライマリエンドポイントとして確定的な報告とはならなかった。それどころか、一部事例では、網膜症発症促進の可能性がある・・・これは今後、糖尿病治療開始時の網膜所見チェックの重要性がさらに重要視されることとなるだろう。
1型、2型糖尿病に対して、プラセボとcandesaratan 32mgのランダム化5231名の研究
309の世界中のサイトで、4年フォローアップ
1型糖尿病DIRECT-Prevent 1, n=1421
DIRECT-Protect 1, n=1905
(Chaturvedi N, Porta M, Klein R, et alfor The DIRECT Programme Study Group. Effect of candesartan on prevention (DIRECT-Prevent 1) and progression (DIRECT-Protect 1) of retinopathy in type 1 diabetes: randomised, placebo-controlled trials. Lancet 2008;published online Sept 26..)
2型糖尿病 (DIRECT-Protect 2, n=1905)
(Sjølie AK, Klein R, Porta Mfor the DIRECT Programme Study Group. Effect of candesartan on progression and regression of retinopathy in type 2 diabetes (DIRECT-Protect 2): a randomised placebo-controlled trial. Lancet 2008;published online Sept 26.. )
正常アルブミン尿で、正常血圧もしくは軽症の高血圧の患者
1型糖尿病では、candesartanは、網膜症頻度としてEarly Treatment Diabetic Retinpathy Study scale の2以上のステップへの効果として、borderlineで、18%(主要測定項目)で、網膜症発症抑制への効果はなかった。しかし、post-hoc解析ではcandesartanは網膜症3以上のステップでの改善頻度は35%(ハザード比 0.65,95%CI 0.48-0.87)であった。
2型糖尿病において、candesartanは13%網膜症発症を抑える(主要測定項目)、しかし、有意差はなかった。34%ほど網膜症発症増加(セカンダリアウトカム;1.34,1.08-1.68)。しかし、早期網膜症群(極軽症網膜動脈瘤、出血、cotton-wool spot、hard exudate)ではのみ生じている。
candesartanの1型・2型糖尿病網膜症減少効果は全般的には認められるが、プライマリエンドポイントのベネフィットを見いだせなかった。
重要なメッセージとしては、網膜症早期においてはcandesartanは改善効果を持つことである。
DCCTにおいて示唆されることだが、網膜症無し患者では、強化治療でより強い効果を有すること、そして、75%ほど網膜症徴候頻度を減少させるが、重症網膜症発症抑制は50%にとどまるということもメッセージである。
網膜症は全身の微小血管障害・大血管障害のマーカーである訳で、重要な合併症であるとともにアラームサインであるということになる。
武田薬品がらみの治験って、いつも、変な結果に終わる・・・
//////////////////////////////////////////////////////////////////
ケアネットにかかると・・・以下の表題に豹変する
↓
◆糖尿病網膜症の発症、進行抑制に降圧薬が効果示す
降圧薬のカンデサルタン(ブロプレス、海外での商品名Atacand)が、糖尿病網
膜症の発症と進行を抑制する可能性を示した複数の研究結果が、英医学誌「La
ncet」オンライン版に9月25日掲載された(印刷版は10月18日号に掲載)。
やりたい放題だな・・・タケダ
by internalmedicine | 2008-10-20 09:35 | 糖尿病・肥満