反復虚血のプレコンディショニングのnovel window

repetitive coronary stenosis (RCS)は、重度心筋虚血に対して防御的になるが、従来から考えられていた、ishemic preconditioninよりradicalに異なるメカニズムが関与しているようだ。

"ischemic preconditioning"(IPC)
心筋細胞が壊死を引き起こさない程度の短時間の虚血と再灌流を数回繰り返すことにより,その虚血耐性が増強する現象(参考)


classic first- or second-window preconditioning(SWOP):
IPC による梗塞サイズ縮小効果は,先行する短時間虚血により(プレコンディショニング操作),まず1~2 時間の間に認められその後いったん消失する.これをclassicPC(1st window PC)と呼び,このIPC 虚血の12時間後から再び梗塞サイズ縮小効果が生じ,48 時間後をピークにその後再び効果が消失する.これをdelayedPC(2nd window PC)と呼ばれている(参考 pdf)

重度の虚血による心臓保護システム


Repetitive Ischemia by Coronary Stenosis Induces a Novel Window of Ischemic Preconditioning
Circulation(October 20, 2008, doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.108.788240)
繰り返す冠動脈虚血(repetitive coronary stenosis(RCS)や虚血プレコンディショニングのsecond-window(SWIPC)

致命的な虚血60分の冠動脈閉塞とその後の再潅流で、梗塞サイズ・面積はRCS後6±3%、SWIPC後16±3%(both groups P<0.05, less than shams 42±4%)

SWIPCの分子標識、NO合成酵素誘導isoformとprotein kinase Cεの細胞膜へのtranslocationがSWIPCでは認められたが、RCSでは認められなかった。

NO合成酵素阻害剤を前処置したところ、SWIPCで予防確認された。RCSでは確認できなかった。
microarray解析では、RCSとSWIPCでは定量的に異なる心臓保護的ゲノム特性が認められる。SWIPC(2394)動物より、RCS(5739)の方が調整遺伝子数が多い。
RCSでは5739遺伝子だが、SWIPCではその31%に過ぎない。RCSでは、SWIPCと異なり、autophagy、小胞体ストレス、ミトコンドリア酸化メカニズムを含む遺伝子群が多い。
この経路のupregulationがWestern blottingで確認された。

by internalmedicine | 2008-10-22 11:39 | 動脈硬化/循環器  

<< テレビ・コンピュータ使用で睡眠... アメリカの医療:無保険者・ER... >>