老人へのベンゾジアゼピン使用は股関節部骨折を増やす

ベンゾジアゼピン系薬剤はGABA受容体の機能を亢進して、抗不安効果、催眠効果、抗痙攣作用 、脊髄反射の抑制による筋弛緩 、錯乱などの逆説効果 <引用>があるわけで後ろの2作用が老人では骨折事故↑となる可能性があるということで

Benzodiazepine Use and Hip Fractures in the Elderly
Who Is at Greatest Risk?
Arch Intern Med. 2004;164:1567-1572.
【背景】ベンゾジアゼピン使用が股関節骨折を増加させるかどうか不明だった。大規模コホート対象多くの潜在性要因を対照とした治験

コホートメンバー(n=125203)が194071人年をもたらし2312件の骨折
メディケイドナーシングホーム居住、抗精神薬使用(抗パーキンソン薬使用を含め)、てんかん、痴呆の診断、事前6ヶ月以上の入院歴補正にて、股関節骨折の頻度は有意にベンゾジアゼピン非使用群に比較して、インシデント比 [IRR]で表現:

・種類をとわず全ベンゾジアゼピン:1.24; 95% CI 1.06-1.44
・短半減期・高ポテンシーなベンゾジアゼピン: 1.27; 95% CI, 1.01-1.59
・ベンゾジアゼピン開始後2週間:2.05; 95% CI, 1.28-3.28
・ベンゾジアゼピン開始後次の2週間:IRR, 1.88; 95% CI, 1.15-3.07
・持続使用:1.18; 95% CI, 1.03-1.35

【結論】股関節骨折の頻度はベンゾジアゼピン使用と関連。事前の研究と反対に短期半減期ベンゾジアゼピンは長期ベンゾジアゼピンと比較して安全とはいえない。股関節骨折リスクはベンゾジアゼピン使用後最初の2週間で高く、次第に減少する。

by internalmedicine | 2004-07-28 11:49 | 内科全般  

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