低ナトリウム食への患者の知識が心不全の再入院と相関

後述の論文の結論は、“食事中のナトリウム”への知識が少ない人達は、90日間に心不全で再入院する率が高いというインパクトのある報告である。

医療へ世間は、医者がちゃんと説明しないから悪い、言葉がわかりにくいから悪い・・・と宣われ、国立国語研究所なる天下り団体がお節介にも・・・正しいとはいえない言い換えを医療の世界に強要している(難解な医療用語 言い換え57案ピックアップ 国立国語研究所
2008.10.21 18:27 sankei)(この研究所の言い換え、正確でない表現が多いが、これは後日批判しよう・・・この国語研究所はリテラシーがないのでは?・・・例:「メタボリックシンドローム」は「内臓の脂肪がたまって、病気を引き起こす状態」とするそうだ・・・こいつらは税金の無駄な白色脂肪細胞では?)


さて、以前健康リテラシーについて、老人診療のおけるヘルス・リテラシー(2007年 07月 24日)でふれたことがある(見直すと・・・テーマの割に記載・不出来の回であったようだ。)。
心不全に対するナトリウムの問題点は自明と思うが、なかなか一般の見識は深まらないようだ。その知識が医療アウトカムに影響を与えるというインパクトある報告。
 ↓
Relation of Lack of Knowledge About Dietary Sodium to Hospital Readmission in Patients With Heart Failure
The American Journal of Cardiology Volume 102, Issue 9, Pages 1212-1215 (1 November 2008)
ナトリウムの知識を標準化試験(0-10)を前向きに、心不全入院患者(退院前48時間未満内)に行った。
90日めの心不全再入院率を低知識(スコア 0-3)とそれ以外(4-10)で単変量解析・多変量解析で検討。心不全48名を別に前向きに参加させ、健康リテラシー評価であるTest of Functional Health Literacy in Adultsを含めた、食事知識試験と心理・他の因子の調査を行った。
ナトリウム知識の低いものはその他に比べ3倍の90日再入院率(28% vs 9%、p=0.02)
この相関は、他の寄与因子補正の多変量解析でも持続。低健康リテラシーは、心理的パラメータとは関係なく、食事のナトリウム知識の低さと関連する。





テレビなどのサプリメント宣伝などのため、正しい健康リテラシーを獲得するのが難しい。“健康何タラ”という商品の存在が真の知識獲得の弊害となっている。たとえば、“カロリー制限が主体であるべきなのに、血糖の吸収をおさえるなんたらを飲めば血糖低下・・・”なんて・・・紛らわしい情報が氾濫していて、それを放置している厚労省。


不都合な事象が生じると、すべて現場責任におわせようとする馬鹿官僚と桝添のようなアホ大臣、国民に医療の限界を理解させ、リテラシー向上をめざせ・・・というような骨のある行政・政治の専門家は日本にはいないのだろうか?

コンニャクだって、パンだって、急いで飲み込めば詰まるよってあたりまえのこと
リテラシーの欠如に起因する部分があると思うのだが・・・それを言わない限り、誰かが加害者として血祭りに上げられていく・・・日本の状況

by internalmedicine | 2008-10-24 08:50 | 動脈硬化/循環器  

<< 専門家の意見を無視し、誤った疾... 肥満治療薬: Tesofens... >>